3ー17【皇女のプライド4】
◇皇女のプライド4◇セリス視点
ミオに最低限の説明はした。
今回の身内のゴタゴタに巻き込んでしまった事は、不甲斐ないと思っているし、情けないけれど、それでも巻き込んだ責任は、解決したらしっかりと取るつもりでいるわ。それだけの混乱を招いているのだから。
「……それじゃあ私はそろそろ戻ろうかしら。あ、お弁当は食べてね、せっかく手作りしたんだから」
「また急だな……」
話をする目的は済んだからね。
長居は無用……というか、わざわざ詮索させる行動をとるのもアレだし。
「変に勘繰られたくないでしょう?特に、ミーティアには」
ミオは軽くため息を吐いて。
「はぁ〜……ティアは多分、もう気付いてるよ……いや絶対に気付いてる。それでも言及しないんだよ、俺にも追求してこないし、他の誰に聞かれても言ってないんじゃないか?」
肩を落としながら言うミオ。
悪いわね、一番苦労を掛けて。
ミーティアも、私の今回の行動の意味を悟ってるらしい。やっぱりね。
だけど何も、ミオにすら言及していない……その理由は、きっと。
ミオは続ける。
「ティアだって、父親と戦う覚悟を持っているからな……セリスの決意に気付いたんだろ。俺もさっき言ったろ?親を殺すのかって」
「ええ、そうね……」
「ティアにもその覚悟があるんだ。父親を、ダンドルフ・クロスヴァーデンをその手にかける覚悟をしている。だから誰よりも分かるんだよ、セリスの考えも、思いも」
だから何も言わない。
更には他の誰かが私の考えに気付かないよう、自分に興味が行くように仕向けてもくれている。ミオに言葉を掛けないのも、きっとそういう事だ。
「よね。思い当たる事しか、ないわ……」
私は自然と拳を握っていた。
二人には感謝しかない。今回の事も、きっと一生忘れぬ恩になるはず。
「だろ?まぁ感謝しとけばいいさ、次の戦いが終わるまで……きっとティアは動かない。でも覚悟しとけよ〜?ティアは案外、嫉妬深いぞ?」
「……怖いわね、後が。何されるかしら、殴られる?それとも氷漬け?」
何となく感じてはいたけれど、ミーティアは結構な割合で独占欲が強い。
自分ではクールぶっているけれどね。
今回の独断婚約宣言の裏で、一番腹が立っているのは、絶対にミーティアなのだから。
「ま、それくらいは許容しろ。俺だって、結構怒ってるんだからな?今回のお前の暴走にはさ……【アルテア】から追放しないだけマシだろ?」
少しは頭を過ったわよ、帝国まとめて【アルテア】追放。
でも、それだけはないと……帝国の力も必要と思ってくれていると分かるから、甘えた。
「わ、分かってるわよ。反省はする……全部終わったら、ね」
二人共、似た者同士だから。
全部理解してくれて、全部受け入れてくれて、そして全部返ってくる。
本当に、敵わないわね。
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