3ー16【皇女のプライド3】



◇皇女のプライド3◇セリス視点


 私は、今回色々と敵を作っただろうと思う。

 特にミオの回りの女性たち……更に詳しく言えば、ミーティア個人。

 でも後悔はしない。していない。

 する訳にはいかない。してはならないから。


「【アルテア】の全戦力を以って、帝都へ進軍し……私が、皇帝バルザック・セル・オラシオン・サディオーラスの首を取る」


「……親を殺すって言うのか?」


 ズキリと、胸に刺さる。

 異世界だろうが、親殺しはタブーの一つだ。

 だけど、これだけは私がやらなければならない。


「ええ、殺すわ。ミオの……【アルテア】の敵、アリベルディ・ライグザールとダンドルフ・クロスヴァーデン、彼らに協力している疑惑がある以上……身内であろうとも許しはしない。ましてや国民をも巻き込み、戦火を広げようとする愚かな選択を……帝国の姫として、許しはしないわ」


「……」


 ミオは何も言わない。

 ただ、少し呆れているような表情には見えた。


「なに?」


「あ、ああいや……そんな格好でもなければ、めちゃくちゃ心打たれたんだろうなぁって」


「……は?」


 そう言えば、そうだった。

 男がグッとくる格好をロイドに聞いた結果。こんな小っ恥ずかしい、裸エプロンなんて言う格好をしてしまった訳だけど……真剣な話をする格好ではない、確かに!!

 なんだか急に恥ずかしく感じてしまうわね。


「――み、見ないで」


「今更かよ!全開だったぞ全部!」


 生まれてこの方、見られても恥ずかしくない身体つきに育った自負があるけれど、流石に場をわきまえていないわね。


「ま、真面目な話をする格好では無かったわね、ほんの少し」


 指先くらい。


「全然の間違いだろ。まぁいいけどさ……セリスの考えも分かったし、約得だって事で焼き付けておくよ……ただ、ミーティアには言うなよ?」


 笑顔を見せてくれるミオ。

 ようやく笑ってくれた。私が来てから、ずっと怖い顔だったから。


「言わないわよ。帝都を手中に収めるまではね」


「解決したら言う気かよ!!お前が言い出したんだろーが!」


 婚約は、確かに士気向上の為だ。

 【アルテア】の支配者であるミオ、彼の力は……言わずもがな大陸一、いえ……もう世界一だと思う。この世界で最強の、神を超えた人。

 女神たちを従え、向かう先は平和な未来……ミオが立つ、その少しでも後ろに私の居場所があるのなら……と思う。


 ミオとの婚約、これは別に作戦と言うだけじゃない。

 私だって、国の為なら誰とだって結婚できる……その覚悟は幼少期から決めていた。だけど、ミオとなら……私は進んで誓いを立てられる気がする。


「ふふっ、そうかもね。でも私は、今回の騒動が解決しても譲らないわよ?」


「は?……な、何を?」


「ふふっ……さぁてねっ!」


 くるりと回転し、もう一度臀部を見せておく。


「ぅおーい!だから隠せってばぁぁぁ!!」


 あはは、恥ずかしがってる。

 もう結構女には慣れてるはずなのに、おかしいの。

 君はプレイボーイにはなれなさそうね、ミオ。

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