3ー11【かの姫は思う3】



◇かの姫は思う3◇ミオ視点


 セリスの思惑を、俺は無視できない。

 【アルテア】の最大兵力は、間違いなく帝国の兵士であり、セリスを慕う国民でもある。今回の騒動……というのも変な感じだが、セリスの考えが、皇帝派の連中と戦うには最適だ。

 士気も上がるし、造反も出ているから、実際に効果が出ている。


 それでいて、俺がここで梯子を外せば……一気に瓦解する。

 俺一人で帝国を壊滅できるのなら、とっくにセリスとの関係は誤報だと叫び散らかしたいが、それは無理……ではないかも知れないが、その選択はしたくない。


「何してんだセリスの奴……」


 部屋の外に感じる気配、【感知かんち】で判明している二人……セリスとロイドさんだ。もう五分くらい、なんかしてるけど……入ってこいよ、いい加減。


「はぁ……せめてティアには説明したい所だけど、なぜか避けられてるんだよなぁ」


 ミーティアの考えも理解できてしまうから困る。

 彼女は、セリスの考えも考慮して行動しているはずだ。

 俺との関係は、言わずもがな恋人関係だ。だけど、別に正式に発表とか、そんな皇室のお付き合い事情みたい話じゃないからな。

 だけど、セリスが先に宣言してしまった……婚約を。


 コンコン。


「――失礼しまぁす」


「やっと来……っ!?」


 扉を開けて顔を見せるセリス。

 ちょっと待とうか、なんだその格好は……!


「えへへ、似合うかしら」


「……」


 絶句。これがまさに絶句。

 言葉も出ない。というか、この皇女様はなにを考えている??


「ねぇ。似合う?聞いてるんだけど……?」


 セリスはエプロンをしていた。

 しかし、服を着ていないように見える、いわゆる――裸エプロン!!


「あ、あー……その、下は?」


 どうせ水着を着ているとかだろう。

 裸に見えそうなショーパンとチューブトップとかな、俺には分かる。


「下?もう……エッチなんだからっ、はいっ!っと」


 クルッと回転するセリス。

 恥ずかしげもなく、そのプリンとした臀部を……晒した。


 肌色。


「ほらな、やっぱり履いて――ぶぅぅぅぅうぅぅぅ!!」


 俺は吹き出した、何も口に含んでいないのに、何かを吹き出した。

 そして椅子から転げ落ちた、勢いよく頭打った。

 履いてないんだが。履いてないんだがぁぁ!?!?


「ミオぉ!?」


 転げ落ちた俺のもとに歩いてくる。

 いや待て!!そのまま屈んだら見えるから!ステイだセリス!!


「こっち来んな!」


「なにそれ!酷いじゃない!!」


 ズイズイと。


「だから!来たら見えるだろ!」


「見てもいいわ!むしろ見て!!」


 やめて!!悪気がなくても見えるスタイルはやめてくれ!!

 それに、なんでそこまでするんだよ……皇帝派との一戦が終わったら、この情報は違うと、間違いだと宣言するつもりなんじゃないのかよ……?

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