2ー63【悪女な魔女11】
◇悪女な魔女11◇ミオ視点
予感があった。
聖女……レフィルを見た瞬間の、突発的な予感だ。
確証もないし、自信があるわけでもない。
だけど、直感でこうしなければならないと、そう判断させる何か。
それを感じてしまったんだ、あのレフィルを見た時に。
昨日の敵は今日の友、そんな言葉を信じるほど、俺は寛容じゃない。
実際アレックスの野郎は嫌いだし、あいつの父親は目下の大敵だ。
だから馴れ合うつもりは毛頭なかった……無かったんだが、俺もまだまだ自分の心に振り回されると言う事で、甘いんだろうな、結局。
「……」
しかしだ、レフィルを利用しようという魂胆は本心だ。
彼女の求心力は、聖女の頃から凄い。それは敵であったからこそ分かる。
様々な手段を用いたんだろう。それこそ悪どい事をして、俺も彼女を悪女だと決めつけていたからな。
「……」
けれど、人は変われる。
信じる事しか出来ないが、俺はレフィル・ブリストラーダという女を信じる事にした。故郷の村を焼かれた事を水に流すつもりはないさ、だってそれを許したら、きっとレフィル本人が申し訳無さで一杯になるだろう。
だから、恨んでいる、怒っているでいいのさ。
それを口に出して追求する事はもうしないつもりだが、自分のやってしまった事を、誰かが覚えてくれていれば、それが悪しき事だったとしても、記憶には残るからな。
「さて……この暗闇にも慣れてきたところで、【
この瞬間にも、【
例え【女神オウロヴェリア】の権能だろうと、それを超えた力なら上書きだろうが書き換えだろうがやってやるさ。
「ん……?まさか、この感覚……!」
ゾッとするような感覚。覚えがある、覚えしか無い!!
心臓を刺されるような鋭利な視線、掴まれて離さない、執拗な触感。
「――
現実世界の日本から俺を追ってきた、俺を殺害した張本人。
その正体は、異世界から抹消された……【女神オウロヴェリア】本人だ。
「本人……じゃ、ないな。もしかして残留思念かなんかか?」
俺の目の前に出現したのは、日本で俺を刺した地雷系の少女。
あーそうだよ、こんな子だった。懐かしいな……じゃなくて。
「
「……」
会話が出来るタイプの
いや、そもそも最後の最後だけだったか、会話が成立したの。
「なるほど。これが【女神オウロヴェリア】の……権限操作の根本か」
え?じゃあ、操作はこの女の子の身体を触る……のか!?
いやいや、いやいやいやいや。
俺は一人で
「触んなくても【
右手を翳して【
イケる。これなら書き換えていけるぞ。
「……む」
流石に神の能力、女神の権能。
情報量が多い、鼻血でそうだ。
ま、ここは【
「――【
「おわぁっ!!しゃ、喋れんのかよビックリしたなぁ!!」
俺は情けない声をだして、何もない真っ暗な空間に尻もちを着くのだった。
いや〜、誰もいなくて良かったよ。
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