第20話

近所の海にやってきた。


「わー!海きれー!」


あ。靴を脱ぎ捨てた実くんは、海の中に入ってしまった。


「見てみて!短くしたから入れた!」


大はしゃぎしてる。


「はるちゃん!砂がキラキラしてるよー!足が痛くないね!」


無邪気である。ひとしきり元気に歩き回って、私はそれを眺めていた。


「実くん、濡れたら寒くなるかも。足拭いたほうがいいよ?」


海から出てきたけど、私タオル…持ってないなぁ。


「タオルならあるよ!ほらね」


オシャレバックからそんなものが。


「準備がいいね」


「えへへ!海入りたくて!はるちゃんの写真撮っていい?」


スマホも取り出した。


「…うん?いいよ」


スマホで撮ってくれるらしいけど、すぐ撮らない。


「はるちゃん。海で泳ぐには夏かな?」


「そうだね。今は入らないよ?」


「ふーん?」


写真撮ってる。なぜ今?不意打ちなの?


「はるちゃんは目がキラキラしてるね」


「そうかな…」


そう言われると、なんだか恥ずかしいなぁ。


「じゃー次!一緒に撮ろ!」


「う、うん」


なんだか撮り慣れない。肩を抱かれてどきどきしてしまう。


「あのねぇ、俺結構写真撮るのうまいんだよ?」


「そうなの?…あ、実くん見ちゃった」


「いいよー?連写してるー」


「実くん、手が大きいね。スマホ小さく見える」


「そう?」


私の方を見てにこっと笑った。そして、今度は海を撮ってる。


「よしできたー!ご飯いこー!はるちゃんの好きなお店にしよー」


「じゃあ…ソーキソバ」


「なにそれ!ソバ?食べるー」


大騒ぎしてる。

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