第10話

旭川さんがここにやってきたら、どうしよう…。


「はるさんは胸が大きいから、寄せたら入りますよ?」


そう言われて、触られた。気持ちが悪い…。さおりさんがいるから、東京で少し頑張ろうと思ったのに。なのに、怖くなった。


「はるさん、またサイズ測り直しが必要かな?成長期?」


旭川さんの声がする…スタイリストだから許されてるの?

嫌…


「はい!できたよ〜!」


「あ、ありがとうございます」


バイトの足助さんは職人のように手早く作業した。急いで着替えてファスナーをお願いしよう。


「はるさん?着替え終わりましたか?」


あ、旭川さんが…来てしまった。


「はい!ファスナー上げますね」


足助さんはさっと素早く対応してくれた。ぴったりになってる。


「頑張ってください」


足助さんの、かっこいい顔からの笑顔は、とても満足そうだった。


「ありがとうございました」


旭川さんの目の前を通り過ぎるとき、不服そうだった。


私は、胸がドキドキしている。足助さんはしっかり顔を見て頑張って下さいって何回も言ってくれて。素敵な方なんだなぁ。

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