大義

@Gpokiu

予告

「じゃあ、処女だと思っていたけど、そうじゃなかったから殺したと?」

「はい。」

「はぁ〜……」


コイツはなかなか……


「あなたね、はっきりいって、頭おかしいよ。」

「というと?」

「いや、というと?じゃなくて、まず、人を殺すって言うのは、犯罪でぇ、普通はしないの。でさらに、その動機が、処女じゃなかったからって、どうなってンのって感じ。」

「どうなってるって、仰ってる通りですが。」


この人はなぜ私の話を理解してくれないのだろう。私はただ聞かれたことを返しているだけなのに。


「反省してる様子もナシ……、あなたね、もっと自分のしたことのおかしさに気づいた方がいいよ。」

「……キリスト教には、処女懐胎という考え方があります。」

「え?」

「処女懐胎は、キリスト教では大事なシンボルの一つです。」

「……で?」

「つまり、他人に処女であることを求めるのは、何もおかしいことではないのです。」

「君、キリシタンだっけ?」

「いえ。」

「ふぅ〜……」


じゃあ今のは一体なんの話だったのだろう。


「あんたさ、童貞?」

「……いきなり何を聞くんですか。」

「いいから、童貞?」

「はい、そうですが。」

「そう、俺はてっきりお前が童貞じゃないと思ってたから、すごい悲しくなった。死ね。」

「………」

「あなたがしてることって、こういうこと。」

「暴論ですね。」

「これが暴論だっていうんだったら、こっちだってお前の主張も暴論だって思うよ。」

「私は、一つの信念のもとで行動したのです。単なる好みの話ではありません。」


ただ、いくら話しても、伝わらないのだろうと思う。


「まぁ、別に納得しなくていいよ。どうせ犯罪なのに変わりはないし。」

「そうですね。」

「……なんでそこには抵抗しないんだよ。」

「殺人が犯罪であることは理解しています。ただ私は、私の考えを理解して欲しいと思っただけです。」


可哀想な、可哀想な私。どうしたって、世界に理解されない。

この世界で、ひとりぼっち。


私は殺されたんだよ、

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