第119話 彼の言動

 彼はメガネは気に入ってすぐかけてくれた。

 モールに出かけた日は、あれからサイゼに行き、2人でシェアして食べる事はこちらに来てやってみたい事の1つだったから念願は叶った。その後、星乃珈琲店にも寄った、彼のおすすめのスフレがあるとかで食べさせたいと言われた。初めて食べた。


 それからまたアパレルコーナーを見ていた時に、こんな服素敵ねというと、「彼女なら似合うかもしれない」と言われた。彼女とは、一度会わせた私の友達の事である。私には合うとは一言もその後も言ってもらえず、「俺似合う?」とだけ聞いてきた。


 なんか疲れた。


 自宅に帰ると、またまた爆弾発言が、「俺デブは嫌いなんだよね、◯◯さんの見た目でみわさんの声なら良かったんだけど……」◯◯さんとは私の友達の事だ。私はちょっぴり太めである。


 人として、お世話になってる人に言う発言とは思えない。めまいがした。だから写真一枚も撮らないのか。それを聞いてから、もう、「帰って」って言う気持ちが強かった。


 彼が居候してから、3.4.回台風とか雨がひどいとかで延していた。そして、3週間目も終わろうとしていた。私はなんとしても帰って欲しくて、みどりの窓口に彼を連れて行った。丁度、病院にも行かなくては行けなかったので、一緒に並んだ。途中何度も帰りたくないと言われたが、「もう経済的に無理です、帰って下さい」と言った


 彼の順番になり、土日で混むから2.3日延しますと言ってなくなくチケットをとっていた。


 チケットを買った日も帰りが病院もあったので、18時になっていた。街に出てきていたので食事をして帰りたかった。


「えっ今日、家でご飯作ってくれないの?楽しみにしてたのに」


「特に何も買い出ししてないんですけど、朝早かったし」


 いや〜、初めて街に出てきたのだからご飯食べて帰ろうよとツッコミ入れたくなった。彼だって、この街にきて、街の中歩くのは初めてのはずである。


 その後なぜか、北海道物産店を見て周った。


「ん?疲れてるから、どこかに入ろう?」


「みわさん、見てご覧よ、美味しそうなのいっぱいあるよね。帰ってこれで食べてもいいんじゃない?」


「私はどこか、お店に入りたい」


「このお菓子も美味しいよね」


 駄目だ、話が全然噛み合ってない。そもそも歩きどうしで、足が痛かった。


「私は買わないよ、見たければ見てきていいよ」


「全然興味ないんだね」


「今はどこかで、ご飯食べて帰る」


「んじゃ焼肉屋さんに行くか」


「うん」


 どこでも良かった、足が限界だった。彼が寄った所は、お一人様焼肉屋さんで全国チェーンらしかった。彼は何度か利用してわかってるようだけど、私は良くわからなかった。


「はい、このカード持って、呼ばれたら取りに行くんだよ」


「なるほど、おもしろい」


「私は結構、もりもりのお肉のを注文した」


 焼いて食べていると、彼は2回ご飯おかわりして、物足りなそうにしていた。多分お肉欲しい感じなんだなと思った私は、彼のお皿にヒョイヒョイとのっけた。


「いつ来るのかと思ったよ、来ないのかと思った、そんなに食べるのかと思ったよ」


 んーー私のお肉を最初からあてにされてたのか…。


 なんかもやもやしたけど、この人はこういう人だったと思い気を取り直した。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る