第116話 観光地
私の住んでる県の観光地巡りをせっかくだから行ってみる事にした。車で南に2時間走らせると私の好きな国立公園がある。近くのコンビニでおやつを購入して入って散歩をした。
「ここは普段お花咲く時期は凄く綺麗なんだよ、今はちょっと時期外れで何も咲いてないけど、この広い芝生にキャンプする人が沢山いたりして凄く賑やかになるんだよ」
「そうなんだね、広い土地だもんね、散歩するにはいいコースになりそうだね」
木で出来たベンチが沢山ありそこに腰掛けると、彼と私はひと休みすることにした。そしたらどうだろう、こぐもが彼に近づき追い払っても、何度も近づき挙げ句の果てには、虫嫌いの彼のシャツの中に飛び混んだ。
こんな事もあるものだ。まあ自然が沢山ある所にいたら、虫の一匹や二匹はいるけど、よりにもよって嫌いな人に近づき、服に入るなんて、目も当てられない。
彼は平気そうにはしていたが内心どうだったのだろう。コンビニで購入したものを食べてある程度お腹は満たされた所で、次の場所に向かった。
車で走る事40分、有名なお寺についた。参拝を兼ねて三角油揚げを食べに来たのだ。ここはそれが名物になっている。ところが運の悪い事に、この日だけボイラーが壊れて臨時休業になっていた。仕方ないので、近くの別の店で三角油揚げを食べたが納得行く味じゃなかった。残念。
参拝が終わって、せっかくなのでさらにそこから、1時間30分かけて、蔵王の御釜まで見に行く事になった。観光客はそれなりにいたように思う。
「◯◯県にも町には綺麗な人見かけなかったけどここにはいるんだね〜」
「えっ、なんて失礼な、この町も沢山綺麗な人います、まして私を目の前にして貴方はよくそんな事を……まったく」
彼は車を降りると数メートル先にいたおへそを出していたスレンダーな女性2人組を見て言ったのだった。
その後、御釜を見に行ったけどスタスタ先に行ってしまって、ほんとに恋人なのかと心配になるレベルだ。写真を一緒に撮ろうと言っても聞こえないふりをされてしまう。なのですでに10日くらいいるけど、2人の写真は1枚もない事が不満だった。
帰りに、疲れて休憩所で、ずんだソフトを購入。ここでしか味わえないものだから味あわせてあげたかった。でもあまり感動は彼にはなかったようだ。本当に楽しめてるのか疑問だ。体力の消耗と、心労が両方重なり私は具合が悪くなっていた。
自宅までは、車で3時間30分かかる。ここまできたら、寄り道してもあまり変わらない。
近くの足湯温泉によって回復しようと思い立ち寄った。
足湯につかって少し疲れはとれたものの、元気が出て来なく、温泉に入れば気持ちもリフレッシュできるかと思い、彼を誘ってはみたが、それは断られた。体調が悪いなら早めに帰って休んだ方がいいという、彼なりの気遣いだった。
栄養ドリンクを飲んで、もう一踏ん張りと思い、運転したけど途中でダウン。ドラッグストアで少し横にさせてもらう事に。彼はその間、私のために、マグネリープと、アイマスクを購入してきてくれていた。
最初で最後、彼がこの旅行で唯一プレゼントしてくれたもので嬉しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます