第107話 二柱神社初日

「ここが二柱神社ですね、入口がナビどうりに進むと、鳥居の中に駐車場ってなってますが入って大丈夫なんですかね?」


「さすがにまずいんじゃないですか?神様に失礼にあたるとおもいますよ」


「そうですよね、では近くの銀行の駐車場に止めますね、少し歩きますがその方が安心ですよね」


そう言って、彼と私は無事近くに止めて、そこから2分くらい歩いて神社に向かった。あまり会話はなく終始緊張した面持ちで、2人で拝殿まで行き、参拝し新札を入れた。彼は声に出して、私の事を迎えに来た、一緒にいさせてくださいって言っていた。少し恥ずかしかった。


その後、2人でおみくじを引いた。昔からある木の棒に数字が書いてあるおみくじで、その番号を巫女さんに、木箱から出してもらう仕組みのものを引いた。


譲りあいをして、先に私が引く事になり私が引いた。次に彼。私は固まった。


「どうしたの?」


「…うーん」


彼が私を私のおみくじを覗いた。うーん。


「これは、いかんもう一回引こうか」


私のおみくじは、凶だった。笑。神様からのお告げは、納得のいくような内容でそんな酷い事は書いていなかった。でも、楽しみにしていて、これをきっかけにお付き合い、そして、結婚式のように神様に認めてもらいたいと思っていた彼は、もう一度挑戦を望んでいた。ちなみに彼は吉だった。


「私だけ引いてくるよ」


「僕も引き直す」


2人でやり直し今度は、同じ吉だった。別の番号で、同じ内容が書いてあったように思う。彼はお金がないので、おみくじ代も私が出したのは言うまでもない。


無事参拝がすみ、おみくじもひいて、ご利益があるように神社内の喫茶店で、パフェとかき氷を食べた。恋人らしく、今までの事を話したり今後のプランの事を話しあった。おみくじの事で少し気持ちが和やかになったものの、まだまだぎこちなく会話はスムーズではなかった。


「お昼は、やっぱり名物を食べてもらいたいので、牛タンの直売所に行きましょう。お弁当屋があるので、そこで買って私のお気に入りの場所、砂浜なんですがそこで食べましょう」


「分かりました。あっ鳥居をくぐったら、風が吹いてきましたね。僕たちを歓迎してくれてるかのようだ」


「この道路を渡ればあそこに止めたんですよね車」


「あれっ車が皆止まってくれている、さあ今のうちに渡ってしまいましょう。ここの県の人達は皆さん優しいですね、あの神社も巫女さんたちが楽しそうにしていましたね」


彼は少し気持ちが和んだかもしれなかった。その後、お昼に牛タン弁当を買い、お気に入りの海辺にいき、すぐに今タイムリーにやっていたジブリの監督作品を2人で観に行った。彼と、一緒に入れる時間は長くても1週間くらいとその時は思っていた。なので、行事を詰め込めるだけ詰め込んだ。


言っておくが、すべてお金は、私もちだった。もちろんお金なくても、遊びにおいでよと誘ったのは私の方だったから仕方のない事だったので、彼がいる間は精一杯おもてなししようと思っていた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る