第101話 友達

 今日はクリスマスイブ。あまり考えず、先行きが見えず、身動きがとれない生活を尚文と送っていた。私は、SNSで友達募集の欄を発見したので、「暇だ」と一言呟いてみた。


 数分後。(ピコーン)メールがそのサイトに届いた。数秒しないうちにまた(ピコーン、ピコーン、ピコーン)続けて十数件届いた。

 嬉しくなって、丁寧に1人1人返事を返していった。次の日にも、さらに十数件増えていた。また、外部の人と話す喜びに嬉しくなり、返信を出来る限り続けていた。


 多分クリスマスイブという、時期的な事もあり、続けて年末という世間ではお休みモードなので、会話をしてくれる人がいるのかなっといった感じだった。私は、メールで人と何年かぶりで話が出来る事に感動を覚えていた。


 一ヶ月に一度会ってくれる友達は最近、3人出来て充実はしていたが、尚文の体調次第では会えなくなる事も、あると思っていたので毎回落ち着いては会えない。それと、女性の友達には親子と伝えていたが、男性にはまだ伝えてなかった。


 私は、自由に人と話す時間が欲しかったのだ。今の環境や、状況の相談を誰かに聞いてもらいたかった。自分では行き詰まりを感じていたし、行政や、病院に相談してもお手上げだったのだ。だけど、私自身1人の時間を作るのが難しかった。


 今の私には余裕がまったくなかった。


 しかし、そんな中出会えたSNSでの友人関係。世間話や、趣味の話、まったく関係のない話をしてると、少し休まる事ができた。今では、繋がりがない人がほとんどだけど、当時の人に心から感謝する。あの時話をしてくれて、私は救われたのだ。


 結局自由になれないので、直接は会えないんですって言って疎遠になった方が沢山いたけど、私はあの時毎日メール出来て楽しかったのは間違いない。いい思い出である。


 私は、日々の騒音の悩みをメル友に聞いてもらっていた。アドバイスをもらったり、荒んだ気もちを励ましてもらったり。友達っていいものだと思う。例え側にいなくても、会えないと分かっていても、困っていればそっと力になってくれる。それが友達だと思う。


 私は何度もSNSに救われている。


 会っている友達はというと、実はなかなか相談しにくかったりする。大切だから、心配かけたくないとも思うし、こんなカッコ悪い自分見せられないとも思ったりして、なかなか言えない事もある。だから、私にとっては、適度に離れてる距離のネット上の友達が1番相談しやすかったりするのかもしれない。(当時はそう思ってました)


 その後、年が明けてせっかくだから、皆で遊ぼうと言う事になり、女性の友達と、男性の友達を合わせる事になり、皆でカラオケをすることになった。計4人で最初から最後までゲームしたり、歌ったり、楽しく時間はあっと言う間に過ぎていった。


 尚文も4人で遊ぶなんて、小学生以来の事で、かなり楽しかったらしく、「また集まりたい、今度は皆で、旅行とか行けたら楽しそう」と話ていた。


 皆アニメ好きで、遊んだ時に、東京のコミケの話や、アニメの聖地巡りの話が出たからである。


 私もそんな幸せそうな尚文を見られて良かったと思っていた。





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