第100話 早朝のバイク音
(ブルブルブルブルブル………ブホッーン)
「ちょっと、ちょっと起きて、何今の音」
「えっ何か音した?」
「ここの坂、エンジンふかして上っていくやついる」
時計を見ると、夜中の3時30分だった。こんな時間は多分新聞配達しかいない。今まで音に気づいた事ないので、ルートを変えたのかもしれない。今は京介の田舎の一軒家に戻って来ていた。
「多分新聞配達だよ。心配ないよ、わざとじゃないし、もう今日は来ないと思うよ」
「そう?ちょっと様子見てて、俺寝てるから」
そういうと、またいつも通りイヤホンをつけて、布団に潜り込んで尚文は眠った。
ー15分後。
(ブブブブブブ……ブォンブォンブォン)
「何?また?新聞配達?嫌がらせじゃない?何台いるの?」
「ちょっと見てくる、寝てて」
私は急いで着替えると、庭に止めていた車に乗り込んだ。すると、どうだろうか、30分するとまた、バイクがやってきた。目の前の坂を登ろうとしたので、私は急いでエンジンをかけ、車を少し道路に出した。
それを見ていた、バイクがこっちを見ると諦めたように、別のルートに回避して行った。時間はまだ4時30分前だ。
念のためその場にしばらく止めていたら、20分後。バイクが迂回して、坂の上から戻って、やはり家の前を通ろうとしている。私が動かない事が分かるとまた別のルートに消えて行った。
これは厄介だ。新聞配達かまだ分からないが、少くとも、計4回は、3時から5時の間に家の目の前の道路の坂道を凄い音を立てながら行ったり来たりしている。イヤホンをしている尚文がその都度、叩き起こされてしまうのは辛いだろう。なんとか回避しなければいけなかった。
次の日から、毎日夜中12時に寝て、夜中の3時に起きて、車でスタンバイする日が続いた。バイクは、週一くらいランダムで来ない日があった。
10日過ぎようとしていた頃、私もこれ以上寝不足が続くと辛いので、直談判することに決めた朝の事だった。
「止まって下さい!すいませーん、ちょっといいですか?」
「はい?」
「近くに住んでるものですが、毎日ここ通られていますよね?バイクの音うるさくて、飛び起きて、困ってるんです。せめてこの坂通る時、エンジンふかして大音量で登るのやめてもらえませんか?」
「こっちも、商売なんでね、そう言われても、通らないと、はかどらないんだけど」
「どこの会社ですか?」
「河○新聞だよ、でも、たしかうちだけじゃないよ、あっちにも言った方がいいんじゃないの?朝○新聞さん、あっちもここ通ってるよね」
「じゃあ、言ってみます。とりあえず、言いましたからね、この坂通らないで下さいね宜しく頼みましたよ」
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