第94話 物件探し

「見晴らしいいね、コンクリート打ちっぱなしで、おしゃれな物件だね、でも、お風呂がないし、コンセントがあまりないね。窓もかなり大きいから、音が響きやすいかもしれないね」


「ここは、普通の賃貸物件なのかな?なんかお店みたいだね、トイレとかも作りがオシャレすぎる」


「もともと、ここは前のオーナーさんがお店開こうとしていたらしくて、改造途中で辞めた物件だったんです。お風呂がないのと、コンセントの件は後でつけるように工事になると思います」


「あっ台所もどうなってるんだろう?ないような気がするよね?ここ」


「あっ本当だね。いろいろ生活するには、工事が必要物件みたいだね。水回りがなさそうですが、全部入居となれば入れていただけるのでしょうか?」


「あっ本当ですね、すいません。気づきませんでした。 そうですね。うーんと、契約頂ければ工事で手配しますので大丈夫です」


「いつ頃入れる感じになりますか?」


「物の入荷日と、工事の段取りの日にちにもよると思うんですけど、早ければ2ヶ月もあれば入れると思いますよ」


 不動産屋の言うことはあてになるのか?早ければと言うことは、遅ければ4ヶ月とかかかると言うことなのか。それと、いろいろと問題があった。大きな窓を覗くと外に一軒家が見えた。そこの家は今にも崩れそうな佇まいである。と言うことは、住み始めてすぐ取り壊しの工事が始まる可能性もあった。


 騒音は出来るだけ避けたかった。大きな窓から聞こえる、工事音は避けられないだろう。懸念する問題だった。他にも借りようとしていた部屋は、6階の角部屋だったが、部屋の向かい側が資材置き場になっていた。屋上になぜか木の木材や、ペンキが沢山つまれていた。あちこちの工事する空き部屋で使うのかもしれない。


 それともう一つ、このアパートにくるまでの道のりなのだが、車では時間で一方通行な上に時間で通れない時間があった。さらにかなり狭く、60度の坂道な上に45度の曲がり角を曲がってアパートに入らなければならなかった。私にはかなり難易度な道で冬場凍結した日なんかは、走れる気がしなかった。


 問題がいろいろあったのでここのアパートは保留にさせてもらった。


 一週間後。不動産屋から電話が入り、別の物件を紹介しますので、現地までこれますかと連絡が入った。現地で待ち合わせて内覧をさせてもらった。


「こちらになります、どうぞ。」


ここは、4階建ての角部屋で部屋の中は、6畳一間でクローゼットがついた、ごくごくありふれた間取りだった。 トイレとお風呂は別で、玄関を入ってすぐ小さなキッチンが付いていた。こじんまりしていたが、今はここしか逆にないのかなという思いもあり、資金の事もネックになっていたので、贅沢は言ってられなかったのでここに決める事にした。

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