第93話 SNSで友達づくり

 忙殺された毎日に、息抜きが欲しかった。そんな時に目にとまったのが、SNSでの地元の友達募集の記事だった。試しに募集してみよう。


【アニメ、好きな方、一緒に語りませか?】


 こんな単純な記事で載せたと思う。男女問わず、年齢不問で載せたかいもあり、かなりの方から問い合わせがあった。


 県外の方から、年齢も20代の方から、60代の方まで様々だった。アニメ文化は凄いと思った。


 尚文と、かなりの数のアニメを観ていたので、だいたいの話はできるつもりでいたが、アニメの種類の多さに愕然とした。最近のアニメや、ライトノベル系のアニメは分かるのだけれど、ロボット系や、80年前のアニメはほぼ分からなかった。


 ゲームにしても、ポータブルゲームや、テレビゲーム、VRなどほぼ熟知していたつもりだったが、幅が広すぎて話しが合う人とまったく分からない人と分かれてしまった。それでもメールしている間はとても新鮮で楽しかった。


 そのうち外に遊びに行きたくなり、尚文もアニソン縛りのカラオケなら、一緒に出掛けるのではなかろうかと思い、声をかけたら出掛けてもいいと言う返事がもらえた。


 早速メールしていた仲間の何人かに連絡をとり、会えそうな方で日取りを決めた。もちろん、尚文とは親子と言うことはナイショである。友人で参加すると言う事で楽しめたらと思った。1人は20代の社会人の女の子と、別の日には、40代の社会人の独身の男性だった。


 初めは、20代の若い女の子と会う約束をした。彼女の自宅の近くのモールまで車で迎えに行ったのだ。初めての事で、かなりドキドキしながら待ち合わせの場所まで着くと、携帯で連絡をし、その人らしい人物の近くまで行ってみた。


 彼女は少しぽっちゃりした見た目で、肩までのふわふわしたパーマをかけていた。淡色のスカートに白いニットのセーターを着ていて、肌は白く目が大きくて、それはそれは、可愛らしい雰囲気の女性だった。


「こんにちは~!初めまして、連絡した高梨です!みささんですか?」


「はい!そうです!こんにちは。今日は宜しくお願いします!迎えに来て頂いてありがとうございます!」


「こちらこそです。どうぞこちらの車なので乗ってください。車に乗ってるのは尚文さんで、昔からの友人なんです」


「こんにちは~初めまして!みさです」


「あっこんにちは~」


 尚文とみささんの、会話も少しぎこちないが、まあ順調にスタートした。そのまま、当初相談していた、カラオケ屋に3人で行ってみることになった。


「久しぶりなんですよね〜、みささんはよくカラオケ来たりするんですか?」


「私は週3回くらい来たりしますよ!笑だから、レパートリーは凄くあります!ついこの間も友人と〇〇店のフリータイム行ってきたばかりですよ~笑」


「どんな曲歌うのですか?早く聞きたいな!そんなに歌ってるなら、かなり上手いんでしょうね〜、事前に言っておきますが、私はかなり音痴です。笑ただ歌うの好きなだけです」


「それでいいと思いますよ!好きって大事ですから、笑あと私、順番結構めちゃくちゃなんで、3人で歌っていても順番に入れるの苦手なんで、適当に入れてくださいね」


「そうですか、分かりました。じゃあ、奥に、みささんどうぞ、真ん中に私で手前に尚文さんで大丈夫ですか?」


 ここまでの話、ほとんど尚文は参加していなかった。女性2人に男性1人だから仕方がないというのもあるし、私が最初メールで話していて誘ったというのも話せない要因ではあったのかもしれない。尚文がガンガン割り込んで話す性格でもないし、私も尚文に話をするタイミングを失っていた。






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