第92話 新たな物件

 次の日不動産屋に連絡をとり、昨夜のあった事を伝えた。後日事務所の方に来るように言われて、待ち合わせた日に、尚文と京介と私で大家と話す事になった。


「今回はまた大変でしたね。何があったか詳しく聞かせてもらってもよろしいですか?」


 と言われたので、インターホンの動画を携帯に写してあったのを見せながら、一部始終を話した。


「1階に住んでいるのは、大平くんと言って彼は、高梨さんが引っ越しした次の日に引っ越ししたんですよ。それで彼がうるさいと感じた日なんですけど、大人数で階段ぞろぞろあがって行く所を見たって言うんですよ」


「当日ちょうど下の彼が来た日、携帯で自宅の中も動画撮ってあるので俺しかいないの分かりますから、見てください」


「あー本当ですねー。高梨さんしかいないようですね。じゃあなんで彼はあんな事言ったんでしょう?」


「本当に沢山の人2階にあがっていったって言ってたんですか?」


「そうなんですよ」


「幻覚と、幻聴ではないでしょうか?」


「彼は持病抱えていましたから、そうかもしれませんね。でもどうします?やはりあの部屋に住むの無理じゃないですか?道路もうるさいようですし」


 そう言われても引っ越ししてきて、まだ2週間もたっていない。散々引っ越しして正直疲れていた。それでも、こちらに非がないとは言え、尚文も結局眠れていなかった。このまま頑張って昼間は出掛けて、夜はまた警察呼ばれても戦って住むか、また別の住居探すか悩みどころだった。


 正直、不動産屋は厄介者だと思っているらしく、他所に行ってほしいと思ってるような感じも見受けられた。


 立て続けに、住民トラブルに見舞われてるのだから、目につけられてもおかしくない。それにしても、一回目は、先にいた人に言われたからというのはあったが、今回は家が先に住んでいたにも関わらず、出るのが家ってどういう話だろうか?まあ、住んでいてもかまわないとは言われたが、またそこの住民とのトラブルは、起きるかもと言われて正直気がすすまなかった。


しかも、どちらもほとんど住んでいなく、私が見た所、普通に生活して、結果的に追出された形だ。まったくもって理不尽だ。引っ越し代と、手間暇と、労力と時間と、怖かった精神的苦痛、眠れなくされた時間、すべて返してほしいくらいだ。


 それなのに、また引っ越す場所を探したり、そこに住むにあたって、家具を揃えたり、役所に住所変更したり、それを考えると休んでる暇はなかった。


 一応、不動産屋を何件か紹介され、そこからまたあたって見ることにした。なかなか、思うような物件は見つからず、でも住む場所は早急に見つけなければならずで大変だった。見つかるまでの間、アパートでは寝れないので、京介の自宅で尚文と私は過ごす事になっていた。




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