第81話 不審な彼女
警察が来たその日、あやのさんに【何故1人じゃなかったのか?不安だった尚文の気持ちを知っていて、吐き捨てるように言ってすぐ帰ったのはなぜなのか】私は疑問だらけでメールしていた。
あやのさんは、《だって尚文さん、ガタガタ騒いでたからうるさくて、男なら静かにしろっつーの。私はあの日宗教の会合で知り合いと一緒にいたから、車に乗せてもらって行っただけ》
と返事が来ていた。まあ、頼んでてなんだが、下の階の人といろいろあって住める状態じゃない事を今回リベンジで来てる事を、あやのさんにも話して知っているはずなのに、それはないんじゃないか、と内心は思った。
次の日、尚文の携帯にあやのさんからメールがきた。
《昨日はすぐ帰ってごめん、今日は休みだから夕方から会えるのだけど16時に◯◯駅までこれますか?》
尚文は時計を見ると13時。昨日はあやのさんの隣に知らない男がいて、しかも彼女に心配されるどころか、怒鳴られて、寂しかったけど、あやのさんからメールが来て、舞い上がっていた。
早めに準備をすませると、約束の時間よりかなり早めに着いた。
そんな時に、不動産屋から電話がなる。
「201号室の高梨さんの携帯ですか?水漏れの件ですが、理由が分かりました。201号室の玄関の脇の、外の給湯器から漏れてました。開けた記憶はありますか?」
「はい?えっーと、外ですか?開けたことないですけど、誰でも開けられるのですか?」
「あっいえ、何でもないです。知らないならいいんです。失礼しました。」
と一方的に言われて切れた。
水漏れの疑いは、はれたものの、なんか釈然としない。疑ったのにわびの一つもない。なんだか、もやもやした気持ちを抱えていた時に、あやのさんが来た。
「尚文さん、待ちましたか?今日は行きたい所いろいろあるので、付き合って下さいね」
とあやのさんは機嫌がなぜかいい。尚文はいつも、相手に合わせてついて行く方が楽だったので、今日もあやのさん任せでついて行った。すると、着いた場所は障害者職業センターだった。
「えっ俺はちょっと、こういった人の沢山いる場所は無理です。入りたくないです」
「大丈夫、大丈夫、前に私も通ってたから。皆いい人だから。通うのは置いといても、話だけでも聞いてみてよ」
「えっ〜」
といいながら半ば強引に障害者職業センターに話を聞きに行く事になった。ここまではまだ良かった。1時間くらいいろいろ説明されて尚文は、あやのさんの手前、ただ付き合いで話半分の気分で聞いていた。
やっと終わった。
「これから、どうする?◯◯駅までバスに乗って行こう!それから、あやのの家に行こうよ」
尚文にとってバスは、10年以上は乗っていなく、人混みではパニック状態になる為どう対処したらよいか分からない。
「無理です。あやのさんの家には行きたいけど、バスには乗りたくないです。具合が悪くなるので乗れないです」
「大丈夫、大丈夫あっバス来たみたい。乗るよ!」
と勝手にあやのさんは先にバスに乗ってしまった。尚文は慌てて追いかけて、そのバスに駆け込み飛びのる。
尚文は、駄目だという気持ちが、ますます輪をかけて、顔がみるみる青ざめて、気持ちが悪くなり、吐き気がしてバスから2つ目のバス停で降りて公園のトイレに引き込もってしまった。
あやのさんもびっくりして一緒に降りて、私にメールをよこす事になるのだ。
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