第65話 張り詰めた寒い夜
冬になり、あたり一面雪が積もった。目の前の私道には1日中除雪車が動いていた。
目の前の市が運営している駐車場は、誰も使っていなかった為、雪が1メートル近く積もっていて、私と尚文は雪かきをしないと買い物にも病院にも散歩にも行けなくなっていた。
住んでた所は少し高台になっていて、外に出かけるには、アパートの階段を降りて、さらに木の階段を降りて、市が運営してる駐車場を通らなければならないが、そこも誰も利用していないので、雪かきを私道までしなければならなかった。
週に1度か、2週間に1度は買い出しや、病院に行くため京介が来た時にほぼ雪かきをやってもらっていた。
ある日、朝早くガタガタ音がした。私達の他には誰も住んでいないはずだし、こんな早朝に。
尚文から見てきてと頼まれ、恐る恐る1階を見に行くと、人と、犬の足跡だけがアパートを一周したかのようについていた。
「こんな1メートルも積もった所にわざわざ散歩にくるなんて、不気味だ、今後も警戒したほうがいいよ」
「大家さんかもしれないけど、確かに変だね、様子見だね」
と尚文と私は余計神経過敏になった出来事だった。
それからというもの、尚文からさらにあるマイルールを提示された。
①居間の電気は、どんなに暗くても自宅前の一軒家の電気をつけてからつける。
②トイレは(1人居間に残る尚文が周りに威嚇されるので)出来るだけ私は行かないか、行くときは、トイレの前で尚文が待ってる事。
③台所に立つ時も、トイレと同様(1人は威嚇される)ので、尚文も台所で一緒にいる事。
④出かける時は、威嚇されるのを証拠に撮るため、携帯カメラで動画を撮りながら玄関を出る事。
⑤私がくしゃみ咳をしたら窓をバンバンバン音を出して、開け閉めを外に威嚇するかのように何度かする事。
と言ったものだった。かなり周りの目が気になり敏感になってきていたので、大変だった。
そんな時、雪のちらついてた寒い夜の事だった。暗いと危ないと思い階段を登りきった所につけたセンサーが、反応した。
2回明るくなったかと思ったら、台所のガラスにすぅ~と人影が映った。
「誰だこんな時間に」
「私、見てくる」
ピンボーンは鳴らなかった。玄関ドアを開け周りを見回したが誰もいない。階段の所まで行ってみると、猫のような白いもふもふした動物が駐車場の方に走って行くのが見えた。
センサーにあの動物が反応したのか?でもあの人影はなんだったのかな?と謎だらけではあったが、ありのままを尚文に伝えてその日は過ごした。
その後も、センサーは時々反応していた。その都度、尚文は激怒するようになっていた。誰かいるのじゃないかと。でもいつ見ても誰もいなかった。最初は雪が反応したのか、動物が反応したのかと思ったがどれも違うようだった。
私も尚文もまた体力や精神的にも疲れが出てきていた。
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