第60話 骨折
入院生活を送って2週間がたつころ少し気持ちが落ち着き始めていた。院内にある小説を読んだり、周りの人とおしゃべりしたり、談笑したり、ゆっくりテレビを観たりしていて、少しずつ時間が流れていった。
辛く追い詰められ、落ち込んだ時は、看護師に相談したり、アドバイスをもらったりしていた。
相変わらず、両肩が痛く両腕はまだ自由に使えなく、着替える事に不自由があったものの、病院と言う事もあり、湿布を貼ってもらう事が出来た為に、だいぶ回復していたように思う。
尚文はと言うと、その後京介から連絡が来て、こう言われた。
「どうした。何かあったのか。昨日尚文から連絡来て、迎えに来て欲しいって言われて。お前が乗ってた車は歩いてとりに、行ったんだぞ。大変だったんだから。笑 入院したなら、ゆっくりするといいさ、何か必要な物あったら届けるから、言って」
と言われた。尚文の通院していた病院に車を駐車場に、置いて行く事を伝えてあったので、病院から京介に連絡がいったらしい。尚文は今は京介とまた一緒にいる事が分かり私はほっとした。
尚文が離れていく経験をしたのは今回で、2度目だった。しばらくは、連絡をしないようにしていたが、私はある事を思い出した。アニメの集まりだ。
2箇所参加希望していたので、2箇所とも主催者に断りの連絡をしようと思ったが、1箇所が入院してすぐだった事もありキャンセルが間に合わなかった。もう一箇所はダンディなオジサンがいるグループホームの施設長に事情を説明して、1日付きあってもらえないか頼んでみたら、快く承諾してもらえた。
入院生活4週目に入ろうとしていた頃、入院患者が増え、シャワーの時間が、1日で全員回らないという事態になっていた。私は最後の方だったので、私が10分以内で済ませれば、最後の1人はシャワーを浴びる事がギリギリ可能だった。
急いで、私はシャワーを浴び終えると服を着替えて廊下を走ってしまった。(グギッ、バタン)思いっきり転んでしまった。リンスやシャンプーがあちこちに散らばる。(あちゃー、恥ずかしい。早く戻らなきゃ。あれっ立てない……)
誰も来なかったのは、幸いだったが5分くらいだろうか。しばらく身動きが出来なかった。痛みを堪えて、立ち上がり足を引きずりながら、自分の部屋へと戻った。
その日のうちに看護師を呼んで湿布や、氷嚢を貰おうと思ったが、「肩に貼ってある分があるので我慢して下さい」と言われ2、3日我慢していた。
話せる看護師にあたった時に、急きょ医師と診察する事になり、外科に行くための外出許可が降りたが、その日は、あいにく土曜日の午後で、近くでも片道5000円はタクシーでかかる所に行く事になった。痛い出費だったが、背に腹は変えられない。
結果は、右足の小指の複雑骨折。すぐ、松葉杖の貸出をしてもらい、足にはギブスをされて帰ってきた。
後日、何故か知らないがまたあえて、痛みが落ち着いた頃に、病院で救急車を呼ばれ、総合病院に連れて行かれた。その時は看護師も同行した。今考えると、病院の表向きの体裁の為だったのかと思う。
それから、病院では入院が長引き個室に移動し車椅子生活になった。
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