第50話 山小屋生活 Part2

 私達の借りたロッジは、目の前に川が流れていて、夏場の朝は最高に気持ちがいい。庭には、沢山のクルミの木が植えられていて、秋になると、沢山のリスたちがやってきた。


 庭のちょっとしたスペースには、猫サロンのオーナーさんの知り合いに、木で可愛いい椅子とテーブルを作ってもらった。

 

 近くには、美味しい穴場のピザ屋さんがある。その店のポテトピザが一番好きで、よく持ち帰りにしてもらっていた。


 自慢の自宅の庭のテーブルで、目の前の川の音を聞きながら、コーヒーと一緒に頂いているのが唯一ゆったり出来る時間だったのは間違いない。


 周りに人がいない時は自宅でくつろげた。

しかし、山の奥地のために唯一Wi-Fiやテレビアンテナがなかったのが、今まで初の経験で、現代の世の中でネットを使えない環境と、外部との連絡が難しいのが難点ではあった。


 尚文はそんな事はどこ吹く風とばかりに、現代っ子なのに、上手く適応していたように思える。

 ゲーム機をテレビにつないで遊んでいたし、外に出てインターネットカフェや、カラオケなどに行った時に、新しいゲームのダウンロードをしていた。


 そして、尚文は気持ちも前向きになっていた。街コンに出かけたりして、異性の友達を作って来ていた。

 

 メールでやりとりが山の中なので、一日に数回自宅から離れた時に見たり返信したりするのが日課になっていた。


 少し私も息抜きが出来る幸せな時間が持てたような気がしていた。


 京介の所から、猫も連れて来ていた。念願の猫との暮らしが始まったのである。


 山の中では、イタチや、テン、狐、たぬき、山猫の姿をよく見る事がある。こんなに山中に住んだ事がなかったので、空気も美味しいし、自然も豊かだし最高ではあったが、猫サロンのオーナーさんによれば、冬は、四駆じゃないと登り降り出来ないと言われた。


私の車は二躯だからここにいるには、車を買い替えなければならない。それと、この山小屋も冬の使用にはなっていなかった。


 猫サロンのオーナーさんによれば、知り合いに、大工さんがいて、2重サッシにすれば冬場も過ごす事が出来るのではという話もされてはいた。


 しかし、それだけではなかった。夜になると、カメムシが大量発生していた。1匹2匹ではない。毎晩50匹以上は屋根裏から降りて来てブンブン飛び回っていた。


 ここには、春に来たが冬の雪が降る11月には引っ越さなければならないと感じていた。


 引っ越す事を尚文に相談し、またいろいろ物件を見てまわった。

 探すのはまた困難を要したが、なんとか、ネットで大家さんが直接貸してる物件を見つけて、内覧しに行く事になった。

 

 その物件は、新築のアパートでまだ誰も住んでいなかった。ネットに出して2ヶ月がたった今でも誰もいない。好きな部屋を選べた。


「どう思う?」


「隣は駐車場だし、目の前も空き地だし、気になるのは隣とか、下に入って来た時だけだね」


「ここは、ペット可物件だから、ある程度そういう、音に理解のある人が住んでるかもしれないしね」


契約して新しい生活が始まったのだ。



 


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