第49話 山小屋生活
山小屋のオーナーに案内され、尚文と私は部屋を内覧させてもらった。
「ロフトには、天窓もあるしある程度の日差しも入ると思います。暖炉も薪を使いますが、こちらで準備するので使って下さい。山なので、9月頃からは使うと思いますよ」
「冷蔵庫や、掃除機、ストーブも備え付きのは使って大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ガスはないですが、水は天然水で、料金はかからないので安心して下さい」
私はお風呂がない事と、ガスがない事が不安ではあったものの、今とりあえず住む場所がほしいので、間髪いれず、すぐさま契約させてもらった。
ありがたい事に、敷金礼金ゼロで内覧した日から、借りる事ができた。今でも感謝しきれない。
尚文も、隣のロッジとは近かったものの、隣人は住んでいなかったようなので、安心してその時は借りる事が出来た。
山小屋を利用する人は、夏の間だけとか、たまに週末だけとか利用したり、年に数回利用したりする人が多いらしいので気を抜いて過ごしていた。
猫サロンのオーナーさんとは毎日その日から、行ったり来たりして、生活に足りないものをいろいろ分けてもらった。
オーナーさんには、炊飯器や、テーブル、布団まで調達してもらって、いたせりつくせりだった。その上お風呂も貸してもらったり、たまに、ご飯を作ってもらったりと、まるで、保護猫のようにかわいがってもらっていた。
とりあえず、ガスがないのは、IHの調理器具で代用し、お風呂は、近くの温泉に入りに行っていた。
ただ、温泉は誰かが入ってると尚文は入れないので、1人用の温泉を探し求めて時間帯や、曜日をみて、誰もいないのをみはからって入りに行っていた。
そんな生活を1週間くらいたったある日、隣のロッジの窓からこちらを覗いてる、おじいさんの姿が見えた。
「あれっ誰かこっち見てたよ」
「気のせいじゃない?」
「確かにいたような気がする」
「猫サロンのオーナーさんに確認してくる」
と私は、尚文を置いてオーナーに会いにいって話を聞いてみた。なぜならオーナーさんは情報通で、ここらへん一体の事を把握していたからだ。
「家の隣の人、今こちらに来てるか分かりますか?」
「なんか、昨年とか来てなかったのだけど、家族で急に来たみたいだね」
「そうなんですね。ちなみに来てる時っていつ頃までいるとか分かったりしますか?」
「週末とかだけだと思うよ。ずっといるとかはないと思う」
「ありがとうございます」
といいつつ、私は一抹の不安をかかえながらロッジに戻って行った。
こういう時の不安というものはなぜか的中する。住んで1週間だというのに、お隣さんは、週3日から4日はいることになる。
その間また、結局自宅に入れず山の奥地に車で避難してる生活が続いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます