第43話 カラオケ
365日休みなく朝早くから、夜まであてもなく車でさまよっていると、次第に心と体に慣れてきたせいか、余裕が出てきた。
車の中では、もっぱらアニメや動画を観たり、ポータブルのゲーム機で遊んだりしていた。
それでもたまには、楽しみが欲しくて、昔遊んでた、カラオケ屋や、ゲームセンター、中古本屋に行っていた。
尚文が唯一行ける場所である。尚文の趣味は、アニメを観たり、音楽を聴く事だった。
CDを買うために、ブック◯◯とか巡るのが日課になっていた。
私も尚文が楽しそうにしている姿をみられると嬉しかった。
次第に行く場所もなくなってくるので、近隣の県にも毎日のように足を運んでいた。行くといっても、特に美味しいものを食べる訳でもなく、行く場所は決まって、中古屋さん巡りだった。
そのうち、私の夢が自分の車で日本一周してみたいに変わっていた。
車中泊も何度か試し、自信もだいぶついてきたりもしていた。
ユーチューブで車中泊の動画を観たりキャンプの仕方を何度も観たりして、いろいろ備品も購入してみた。
しかし、運悪く何故か、車種が違うカーテンが届いたり、返品するにも何度か郵便局に行かないといけなかったりするので、その時は断念した。
気軽に郵便局や、銀行にも尚文とは行けなくなっていたのだ。1人で駐車場にいれないためだ。
そういう時に限って、また歯が痛みだしたりする。歯医者に行きたくても、病院にも尚文とは難しい。なんども歯を磨いて、痛み止めで誤魔化していた。
それでもどうしようもなく歯茎が腫れ上がり痛みで気絶してしまうのではないかというくらいまで耐えた時には、さすがに病院に行き、その間は尚文は、カラオケ屋で待っててもらっていた。
歯医者というものはどうしてこうも時間がかかるのだろう。散々酷くなってからいくから尚更時間がかかる。3回を超えたあたりで尚更から
「歯医者、次回で終わらなかったらもう、行かないでね、これ以上はカラオケ屋も目をつけられるから」
と念を押される。
確かに尚文はカラオケ屋でもすぐトラブルをおこしていた。
隣に入ってきた客が爆音で、部屋を変えてもらったけど、変えてもらった部屋の前の廊下(利用してる部屋のドアのすぐ前)に掃除道具30分ぐらい置かれ、廊下を掃除機かけられてるとか。
その為、トイレやドリンクバーを取りに行けず、ずっと嫌な気持ちになっていたとか。
それで店員に嫌がらせされてると思って行きたがらなくなってしまっていた。
そんな事があると、私も最初は別の少し離れたカラオケ屋さんでもう一度チャレンジをお願いする。尚文はしぶしぶ了解し、そちらに行ってくれるが、また似たような感じでトラブルになっている。
結局病院通いは、断念せざろうえなかった。その事もあってか、めったに具合は悪くはならなかった。多分気が張っていたせいだと今では思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます