第41話 職質

 あれから、毎日かかすことなく5時10分頃には起きて、猫のタンにご飯をあげ、頭をひとなでして急いで車で尚文と出かける日々が続いた。

 毎朝、昼、マックか、牛丼チェーンにドライブスルーするそんな日がルーティン化していた。

 携帯のナビで、良さげな場所を検索していろいろ開拓していく。

 車が一台でもいたり、例えいなくても、とまって休んでいるうちに、車が入って来ればそこからは、移動を余儀なくされた。


 尚文が極端に人をさける為だ。


 朝早い為、そして毎日出かける為、周りの音や、人に神経を使う為、変に疲れがたまっていた。

 そんな毎日に疲れはて、車で寝てしまう事もよくあった。


「寝るな見張ってろ!誰か来たらどうする」


 そうよく尚文に怒鳴られていた。尚文はそう言うと気絶したように、何時間も車で眠っていた。


 私はそう言われながらも今のうちと思い、周りを気にしながらしばし仮眠をして疲れをとっていた。


 そんな時に限って、パトカーが見廻りに来るものだ。グルッと私の車を一周すると戻っていく。

 これはまだいい方で、職質を受けたり、山奥なのに住民?から通報うけて来たと言う警官までいた。

 (ドン、ドンドン)

車の窓を叩かれる―


「免許証拝見します」


 私は、警察官には素直になる事を過去から学んでいたので、スムーズに出すと


「近所から通報あったので来てみたのですが、なんでこんな所にいるのですか?」


 その時は丁度牛丼チェーンで、買った牛丼を食べて休んでいた所だったので、その旨を説明した。


「ここで、お昼食べたりするのは法律違反なんでしょうか?」


「違反ではないですが、通報あれば我々は来なければ行けないんですよ」


「違反ではないならいてもいいですよね。」


「なんだったら、車の中も見させてもらってもいいんですよ」


「どうぞ、汚いかもしれませんが見ていただいてかまいませんよ」


 少し苛ついてしまった私と警察官のやりとりである。


 結局早く、帰って下さいねと言われて警察官はその場からいなくなってしまった。


 なかなか休める所も、あるわけじゃなく、県境の山の追い越しする時のちょっとしたスペース(トラックが休憩してる場所)に時々休憩していた。


 そんな時でさえ、長めのトレーラーが入ってきて(ピッピッピ)とバックして来て出口や入り口を塞がれそうになり、慌ててそこからあてもなく移動する事になる。


 誰もいなくても、また誰も来なくても、変な音がどこからともなくする事もあった。

 風か、動物か。はたまた人知れずの物か。

あまり人気のない所をさまよっていると、そういった、雰囲気の所に行く時もあった。


「なんか、変な音がする……ここは駄目な気がするから、別の所行って」


「誰もいないし、誰もこないよ」


「……」


「結構探すの大変なんだよ……分かったよ」



 最初の頃は、ゆっくり出来そうな所を見つけるまでかなりの時間がかかっていた。





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