第39話 平穏な生活
窃盗事件があってから、あれ以来真鍋の事で警察とのやりとりはしてなかった。
真鍋からの電話も京介はとうとうブロックした。
尚文も私もある意味、京介もとんだ一ヶ月を過ごしていた。
私は免許証の再交付申請や、通帳、クレジットカードの盗難届と新規登録で何かと忙しい。
子猫はというと、実はあんな事になり、苦渋の末、里親さんの所の方が幸せかと思い、元のお家に帰していた。
毎日夜中になると子猫たちの夢を見ていた私は、そのうち辛くなって、猫の書いてある本を読むと、思い出すので、それすらも見れなくなっていた。
私は毎日それ以来、なんとなく塞ぎこんでる毎日を送っている。
ここ最近の疲れが一気に出てきたのと、何とも言えぬ消失感が押し寄せていた。
毎日ぼっーっとしていて、魂が抜けたかのような張り合いのない私に、心配した京介が2匹のうちとりあえず1匹だけ引き取ってもいいと言ってくれたので、里親さんに連絡をいれた。
「前に引き取らせてもらった、キジトラのタンの事で連絡したのですが、タンは元気でしたか?」
「あの時のタンのお母さんですか。実は…言いにくいのですが、あれからずっとタンは具合が悪くて病院に入院していて。」
「というと?」
「帰ってきてから数日後で、食欲がなくなり血を吐いて、今病院でずっと点滴してるんですよ。全然回復しなくて。」
「実は、また勝手な話なんですが、引き取らせてもらいたくて。」
「そうですか!それは良かった。私たちが見舞いに行っても元気ないので、これもしかしたら、あなたと離れて元気なくなったんだと思ってたんです。また飼っていただけるならタンちゃんも喜ぶと思います」
そう言われて、私も早くタンに会いたくなっていた。
―1ヶ月後―
キジトラのタンが自宅にやってきた。
胸が張り裂けるほど嬉しかった!
前に、見た時より少しだけ大きくなっているように感じ、相変わらず可愛い。
ゲージから顔を出し一目散で部屋を駆け回っていた!
私には全然警戒するどころか、部屋に興味津津である。
具合悪くて入院していたとは思えない程元気そのもの。
里親さんには、病気してる時の特殊なフードを3キロくらいもらい、しばらくは、定期的に病院に里親さんが連れて行くので迎えにくるとの事だった。
無事これから、猫との生活が始まる。
そう、この時は今度こそ幸せになると思って信じてやまなかった。
その話は、まだ少し先の話なるだろう。
今は少しだけ、ほんの少しだけ、猫との時間を過ごさせて欲しい。
猫との生活は幸せそのものだった。
猫を撫でると、100倍パワーをもらえるし、猫に、いろいろ教わる事もある。
慰めてもくれるし、話し相手にもなってくれる。添い寝もしてくれて、冬は温めてくれ側で見守ってくれる。
猫様々の生活は私になくてはならない時間になっていた。
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