第37話 窃盗
私と尚文が別々の警察署で、事情聴取をされ、家を留守にしている日、とんでもない事がもう一つおきていた。
京介が憔悴しきっていると、少し前にゲームセンターで知りあった、若造の真鍋明から連絡がきたらしく、弱っていた京介は悩みをすべて話てしまっていた。
真鍋は、
「俺は京介さんの力になります。俺結構、警察に知り合い多いんですよ」
と言葉巧みに近づき、引っ越しの手伝いをすると言い出したのを京介は心から嬉しく思ったらしく、真鍋を私と尚文の自宅に上がらせてしまった。
「このカバンいいっすねー!奥さんのっすか?貰えないっすか!」
「あっいいよ!持ってけ!」
と私の持ってるカバンでは大きめのカバンを指さして言ったらしい。
それは、私が後で聞いた話、京介は覚えてるらしいが、実は片付けてもらった後、自宅に私が戻ると、とんでもないものが、いろいろなくなっていた。
普段使っていたカバンにあった財布が、まずなかった。免許証や、クレジットカード、キャッシュカード、現金15万円と猫の避妊手術代で6万円封筒に入れていたのも、ごっそりなくなっていた。
前の日にちょうど今月の生活費として、家賃を振り込むために、銀行から下ろしてきたばかりで、財布にはそれなりに入ってた。
チャージ制のミスドのカードにも、頑張って最高額の2万円をチャージしたばかりのがなくなっていて悲しかった。
そんな時にかぎって盗まれるなんて……。
「なんで、見ず知らずの人を私と尚文の家に上がらせたの?信じられない!」
と京介を責めてしまった。
京介にしたら、私や尚文の事が気になってたのだと思う。
私を手伝ったつもりでこうなったので、京介も思いもしなかったのだろう。
怒りや悲しみや辛さを京介にぶつけてはいけないと思いそれ以上責める事はなかった。
ところが、尚文が戻ってきてからまた、盗まれたものが、それだけではない事を知った。
尚文が大切にしていた、Switchの限定発売された、今は見ることが出来ないあるキャラクターのエディションのゲーム機本体事、まるまる盗まれていた。
当時何千時間していた、ゲームソフトもケースだけあって、中身がすべて、抜き取られていた。
尚文の被害は、主にゲームだけだったが、かなり辛かったようだった。
尚文はどこにもいけず、ずっとひきこもり状態でゲームをしてきて、愛用してきたゲームのデータの記録がなくなったことに落胆していたようだった。
今回の事はすぐに警察に被害届けをだした。犯人も分かってるのに、どうして捕まえられないのか、日本の警察を疑ってしまう。
ゲームは製造番号が載ってる。まして、エディション。そこら辺で売ってもすぐ足が付きそうな代物だ。
そんな矢先、真鍋から京介に連絡が入った。
「奥さんのらしきお財布拾ったんだけど、
2万で買わないか?」
「……。なんで、うちのだって分かるんだ?」
「ポイントカード入ってて、住所がかいてあったから。たしか…」
「どこで、拾ったんだ?」
「大梶…」
「ちょっと持っててくれないか、また連絡する」
と言って電話をきった。
大梶という住所は車で2時間と離れていて、昔住んでたマンションがあり、免許証にはここの住所が載ってる。
真鍋はまだバレてないと思ってるのか?
京介がなめられてるのか?
京介は、警察にすぐ連絡した。
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