第32話 神頼み

 あまりにいろいろありすぎて、毎日生きるのがやっとになっていた私は、藁にもすがる思いだった。


 そこで、近くの有名な神社か、お寺にお祓いや、悩みを相談してみようと考え、ネットで検索し、いくつかヒットした所に尚文を連れて行って見ることにした。


 そこまでの道は、分かりにくく住宅街で入り組んでいて、グーグルマップでは辿り着かず、途中コンビニで道を聞いても迷い、結局電話をして、ナビをしてもらいながら何とか辿り着いたのだった。


 お寺には、尚文は入りたくないと言ったので、尚文を車の中で待たせて、私だけ伺った。


 お寺から、尼さんが出てきて私を迎えてくれた。部屋に通され向かい合わせで座り、尼さんから対面で話をする事になった。


 今までの経緯をサラッと一通り話すと、宗教を指摘された。

 昔上司に誘われて、やった宗教が原因の可能性があるので、出来れば有名な伏見稲荷大社で、お祓いしてもらうとよいと言われた。

 あと水子の霊が付いてると言われたが、思い当たる節はない。

 私の両親からも聞いた事はなかった。


 その後、念仏を唱えて浄化の儀式をしてもらいなんとなく軽くなった気持ちで、そこを後にした。

 

 尚文は、最初は店で一緒に買い物が出来ていたのに、今は駐車場で待つ事すら出来なくなっていた。


 対人恐怖がひどくなっていたのだ。


 私は、唯一買い物する時間が、尚文と離れられる時間だった。

 しかし私が、尚文から離れると尚文の側の駐車場に変な車や人がくる事が実際に多くなっていた。


 ある時は、隣の車の中で、カラオケしてる30代のOL。別の時は、向かい側に止まって、こちらにライトを照らし消さない車。またある時は、真後ろに止まって、ライトをつけて消さない車。

 どの車も駐車場が広く他に空いているにも関わらずだ。


 また別の日は、斜めに駐車されぶつかりそうにされたあげく若い女二人組が降りてきて、こちらに向かって「下手くそ」といいドアを蹴られた。


 あ然としたと同時に少し恐怖もあり、何も言えなかったが、明らかに相手が枠を飛び越えていた。

 またある時は、コンビニの前に喫煙所があるが、私の車の前で鼻をかんでティッシュを車にぶつけて喫煙所に行ってガン飛ばしながらタバコ吸ってる70歳くらいの老人など。


 私も何度か出くわしたのでやれやれと嫌になっていた。


 これはごく一例だ。


 駐車場には誰もいないのに、わざわざ隣にきて、車の窓だけあけて腕を出しタバコの吸い殻を捨てる奴。


 嫌がらせとしか思えない。

こんな有り様なので、スーパー行っても駐車場で待つのに尚文は、恐怖を覚えてしまっていた。

 

 お祓いまがいの事はしてもらい、アドバイスももらえたが、伏見稲荷大社には物理的に遠く行けるはずもなく、稲荷神社に行くのはちょっと躊躇していた。

 

 別の方法はないかと、ネットを検索していて、電話占いの文字が目に止まった。


 

 

 

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