第30話 警告文
子猫を迎えたその日、ポストには1枚の苦情の手紙が入っていた。
「ここは、私有地停めるべからず。次回停めたらしかるべき措置をとらせてもらう。町内会長」
なぐり書きのようだった。
その他にも、ブロックが地面に置いてあり、この先立ち入り禁止と自宅の敷地と思われる門の中の場所で、赤ペンで書いて張り紙をされている物が置いてあった。
慌てて、不動産に連絡を取り事情を聞いた。
不動産からの回答としては、
「お宅の前は私有地です。車を停めてはだめです。まあ、来客来た時は仕方ないと思うのですが。お宅の門の中にはなるのですが自宅前の敷地、2メートル✕3メートルの場所は、ここら一体の住民の下水道のマンホールがあるんですよ」
「えっ?目の前の門の中の敷地は私有地なんですか?まして、下水道のマンホール?でも、駐車場2台契約してますよね?どこに停められるスペースあるんですか?」
「じゃあ、今からそちらに伺います」
と話をきられた。
あまりに、そこら辺一体内覧に来た時は草が1メートルと生い茂っていたこともあり、自分が車を停められるスペースしか草刈りはしていなかったので、マンホールがあることさえ気づく事はなかったのだ。
寝耳に水。
衝撃的だった。
不動産がメジャーを持ってきて、少し大きめの玄関前のアスファルトの部分を測りだした。
軽自動車がギリギリ1台停められるか、停められないかのスペースをそこに見出して、
「ここに1台停められますよ。前の方もここに停めてました」
「2台という契約ですが、もう1台はどうしたらいいですか?停められないなら契約はなかった事にしますよ」
不動産は考えて、後で連絡します。
との事だった。
2台というのは、万が一何かあったら京介に来てもらう時に停められる場所の確保だった。
私の車は軽自動車だから良かったものの、京介の車は普通のサイズの乗用車より少し長いタイプだから余計来るのが無理になった。
今考えると、一軒家の門の中の私有地っていうのがどう考えてもおかしい。
まして、行き止まりの角なのに、どこかに抜けて繋がってるなら分からなくはないけども。
どういういきさつで、私有地になったのかは分からないけど、今まで放置されて、草刈りもしてない場所で定期的に見に来るマンホールでもないのだから周りの住民に嫌がらせされたのだろうと思う。
まして、初めて1回保護猫の里親さんの車を停めたくらいでこんなに激怒したような文面で、書かれるとは前途多難だと思った。
初めに説明をしない不動産が一番問題があると思ったが、私の怒りは行き場を無くして、もやもやするばかりだった。
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