第27話 体力の限界…

尚文と気晴らしに旅行に行ったりしてみたが、帰り高速運転中の事、後ろから着た車に軽く抜かされたのが尚文にはイライラする原因になった。


「飛ばせ、抜かせ、追い越すんだ、あの車に舐められてるぞ」

「気のせいだよ、危ないから、抜かせない」


こんなやりとりが車の中で行われていた。

尚文は抜かさないと、イライラが増すようで私は反射的に運転中、尚文から顔面パンチをくらわされていた。


運転がまともに出来なくなる事もあったが出来るだけ、速度範囲内で抜かされないように、運転の技術アップをしていった。


旅行から帰っても休まるわけでも、気分転換出来るわけでもなく、また次の日も朝早くから車で目的もなく出かけるように尚文から指示されていた。


そんなある日、いつものように少し車で休めるような公園や、山や、海を探して運転していると、後ろから怪しげな車が1台ついてきた。


なんとなく不穏な空気感を感じ、バックミラーで様子見していると、右に曲がっても左に曲がっても速度を上げても、ピッタリついてくる。


誰もいない小さな河川敷のくぼみに速度を上げて逃げ込み止まってみた。

なんと事もあろうかその車も入ってきて、こちらに頭を向けて止まった。


運転手が降りて、こちらに歩いてきた。

乗っていたのはサングラスをかけた30代くらいの男性だった。


「早く車出せ」


と尚文が言ったので、私は急いで車のエンジンをかけた。

すると、その男性も慌てて自分の車に乗り込んで、逃げるように走り出した。


「追いかけろ」


尚文から言われるがまま、私は不審な行動をした車を、無我夢中で追いかけた。


カーチェイスのように追いかけて、その車は少し先の村のインターチェンジまで、猛スピードで逃げて行った。


インターの入り口まで追いかけてUターンして戻ってきたが、あれはいったいなんだったんだと、今だに不思議に思う。


そんな事は1回や2回ではない。

たびたび田舎道の農道で煽られ、猛スピードで追いかけられて、逃げる事もあった。

速度は80から100キロ近くは出てるのではないかと思う。


また別の時には、山形から宮城に戻る途中の山で、夜21時すぎ頃、スコールのような雨が降っていて視界が見えづらくなっていた。


一本道の山道で、前に40キロくらいの車がいて、ある程度車間をあけ私の車がある。

その後ろには、遠目にして車間がほぼなく煽られている状態で、ピッタリくっついてる車がいた。


つまりこれを、サンドイッチ状態という。

身動きがとれないけど、ストレスが非常にかかる状態の事だ。


この状況だとお手上げだ。どうする事もできない。

前の車は抜かせないし、後ろの車のライトが眩しすぎて頭を常に照らされてる状態。

これは辛い。


こんな事が日常茶飯事だった。











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