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 実は。

 わたしのLINEアカウントには、語堂茶莉のアカウントが友達として登録されている。

 決勝の後――テレビ局の控室で、当たり前のように話しかけられたのだ。

 そこには問題文がなかったから、わたしたちは、ただの女子高生同士だった。

 QRコードを見せ合って、互いのアイコン画像に込められた意味という謎を、解こうともしなかった。

『来年も……出るかい?』

 クーラーの効いた控室には、撤収時間を前にしてもスポンサーからの差し入れのスポーツドリンクがまだ残っていたけれど、語堂はわざわざ部屋の隅のサーバーで薄い緑茶を淹れていた。

『……さあ』

 率直に言えば、苛ついていた。チームメイトたちは廊下で待っている。早く帰って汗を吸った制服を脱ぎ捨てたかったし、その後でベッドに倒れ込みながら色々なことを噛み締める時間が、語堂と違ってわたしには必要なはずだったのだ。

 一八〇センチもあろうかという長身に腰掛けられることを想定していないのだろう、テーブルがぎっと軋む。

『受験とか、色々あるから。クイズ以外にもさ』

 まともに目を合わせないで、そんな嘘を吐いた。

 進路のことなんか、これまで、ろくに考えたこともなかった。

 そうだ――わたしには、クイズしかなかったんだ。

 それなのに、そのクイズで、わたしは一番になれなかった。

 語堂茶莉と、同じ時代に生まれたから。

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