白昼夢

 夢の内容を思い出す。でも1つの疑問が残る。夢凪と藍空どっちに渡せばいいんだろう。とりあえず2人に相談してみるか。私は手に紙を握って学校に向かった。


「ねえ、2人ともー」


「どうしたの?」


「今日見た夢の話なんだけどね、この紙がもう1枚あるらしいんだけど」


「まだ調べてたのかよ」


「まあね、それでこのことについて本気で向き合えば現れるとか言ってて、その紙で夢の世界で会えるらしいんだよね。だから協力して欲しいんだけど、どっちが夢の世界に行く?」


「ちょっと待って。急展開すぎて話が理解出来ないんだけど」


「そうだよ。そもそもそんな信憑性のない話信じれるわけないだろ」


「まあ水波がどうしてもって言うなら手伝ってあげてもいいけど」


「えっマジで言ってるの?藍空も忙しいんじゃないの?」


「うん。別に面白そうだし。で、どうやってやるの?」


「さぁ?とりあえずこの紙は渡しておくよ」


夢凪の顔が少し暗くなった。


「そうか、じゃあ頑張れよ。くれぐれも危ない目には遭わないようにな」




 帰り道、神社に3人で向かった。


「紙あるかな」


「真剣に向き合えばあるんじゃない」


「そうだよね」


「ねえ、水波、藍空。俺用事あるから先帰ってていいか」


「うん、分かった」


「ばいばいー」


夢凪は走り去っていった。


2人になって境内に入ると池の前に紙が置いてあった。


「やったね!」


そしてもう1つ、看板が刺さっていた。


「今までなかったのに」


看板を見ると、


『この池は夢の海と真の世界を繋ぐるかた。』


と書かれていた。



 「ねえ藍空、昨日夢で会おうって言ったのになんで会えなかったの?」


「いや、あの後家に着いたら自分のベットの横に置いておいたんだけどなんか無くなっていたんだよね」


「そんなことある?」


「本当だって。ごめん...」


「まあしょうがない、また神社に行けば何か分かるかも知れないから。ところで、夢凪はどうしたの。今日まだ見てないけど」


「今日体調不良で休みらしいよ」


「そうなんだ」


「ねぇ、この紙返すよ」


「ありがとう」


「...! ねえ、見て! 空が!」


「ん?空がどうしたって...どうなってるの、あれ」


空がまるで水に覆われたようになっている。しかも、今日は晴れの予報のはずなのに土砂降りだ。


太陽の光が水を屈折して広がっている。


「今日は雨が凄いので、緊急で下校します。その後家に着いたら午後からオンラインで授業をします」


先生も慌てているようだった。私たちは急いで家に向かった。


「帰りにさ、夢凪の家にお見舞いに行かない?」


そう言って私たちは夢凪に会いに行くことにした。しかし、インターホンを鳴らしても誰も出ない。それどころか生活音すらも聴こえてこない。


私はかなり心配だったが家を後にした。


 家に帰ってテレビを付ける。画面の中から異常気象について取り上げられている。今日急にありえないことが起きて気象予報士も焦っているだとか。私としてはたまにはこういう天気もありだと思う。勉強机を見てみるとおかしなことに気づいた。上に置いてあったはずの紙が無くなっていた。私の親は基本的に勝手に部屋に入ることは今までなかったと思う。でも他に心当たりは見つからない。


「お母さん。部屋勝手に入った?」


「そんなことするわけないでしょう」


やっぱりか。まあ気にしていても仕方ない。私は学校のオンライン授業を受けて気持ちを紛らわせた。

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