第5話 自己紹介 視点冷夏
男の人が2人、私の事を覗き込んでいる。
あれ?私どうしてたんだっけ?
え~と、そうか。
だんだん記憶が戻ってくる。
たしか私は死神の泉に投げ出されて溺れかけたんだ。
男の人の1人は溺れている私を助けてくれたスキンヘッドの人。
もう1人は初めて見る赤毛のハンサムさん。
見た目はまるで違うけど、何となく雰囲気が似ている。
ん?私、布の下……裸だ。
た、確かに濡れた服着せたまま寝かせるのはありえないし、着てたのも病院服で、下着も治療の妨げになるから、着けてなかったし。
でも、家族とお医者さん以外に見られたのは初めてで……。
う~。恥ずかしい。
そんな混乱している私に赤毛さんは話しかけてくる。
「大丈夫ですか?」
わからない。聞いた事ない言語。
え~と
「あの…日本語通じたりしません?よね?」
赤毛さんは困った顔をしている。
すると頭の中に
(おかしいな?同時通訳魔法が効いていないか?)
と、あのベッドで聞いた声が響いた。
そういえば意味が分かる。
「大丈夫ですか?」
赤毛さんの言葉がわかるし、こちらの言葉も通じるみたい。
困った顔は、私が日本語とか言ったからだ。
「はい。助けていただき、ありがとうございます。」
「なぜ大地母神の泉に?」
「それに弟が言うには、空中から落ちてきたと。」
「うーん、え〜と」
(転移魔法の座標事故だと言え。後、そのせいで記憶が混乱しているとも。)
「え~と、転移魔法の失敗で、あと記憶も、失敗で混乱してて、あの…。」
「そうでしたか。魔法は詳しくないので、わかりませんが、そうなのですね。」
その後、互いに自己紹介をした。
赤毛さんはソロス村のジグ。
弟さんはソロス村のデグ。
私は鈴木冷夏、と名乗った。
どうやら、自己紹介は出身地と名前を名乗る習慣みたいだ。
(平民は名前しかないからな。家名を名乗るのは貴族だけだ。)
すると、ジグさんとデグさんは「竜人族」とか「リザードマン語」とか、2人で話しはじめた。
(疲れたから、もう少し休むと言え)
そのとおり二人に疲れたので休むと伝えた。
そういえば、契約した悪魔か何か知らないけど、頭の中の君。
偉そうに喋るよね。
しかし、今度は返事はなかった。
考えただけでは駄目かもしれない。
音声入力なのかな?
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