第20話 全部~ すべて ~
私達の関係は何も変わらないまま普通に接し過ごしていた。
そしてみんなも前のように出入りするようになり、みんなとの時間が戻ってきていた。
そんなある日、昌哉君から告白された。
でも、今の関係のままで過ごす事にした。
♪♪♪~……
【遼ちゃん、今、何してる?】
【告白してフラれ…告白されてフッて何か心の中が忙しい】
【遼ちゃん私と付き合って】
【なんて…遼輔さん忙しいよね?ごめん…やっぱりいいや】
♪♪~……
【全然、大丈夫だよ】
【今から行くね】
♪♪♪~……
【えっ?良いよ。大丈夫!】
♪♪~……
【寂しい時、誰か傍にいて欲しい時、俺が君の所へ君の為に車走らせるよ~なんて】
♪♪♪~……
【ありがとう】
【だけど大丈夫だよ。また連絡するね】
♪♪~……
【藍璃ちゃんは優しいから困らせたくないんだよね?】
【でも俺は、そんな藍璃ちゃんを誰よりも好きだから】
【泣いたり笑ったり1つ1つの仕草とか色々見てきて】
【この子は誰かに支えられなきゃ消えてなくなる、まるでしゃぼん玉みたいに】
【人を信じられなくて今まで生きて来て】
【光ちゃんが君の事を何よりも心配で心から愛してくれていた事、今度は俺が光ちゃんの代わりにしてあげるから】
【弱い所とか情けない所とか全部(すべて)受け入れて君を受け止めてあげるから】
【俺に全部(すべて預けて身を委ねて良いんだよ】
「…遼輔さん…」
♪♪~……
【そろそろ着くよ】
【用意して出掛けるよ】
そして─────
♪♪~…
【着いたよ】
私は部屋を飛び出した。
「遼輔さん!」
車から降りる遼輔さんの胸に飛び込む。
「用意出来た?」
「まだだよ…メール読むのに精一杯だったから…」
「そっか。じゃあ待ってるから用意しておいで」
「うん…」
私は準備をし出掛けた。
「あの…遼輔さん」
「うん?何?」
「遼輔さんは私の、どういう所を好きになったんですか?」
「えっ?」
「それに告白してから月日経つのに…どうして…?」
「…それは少しの可能性を賭けてるからかな?」
「えっ…?少しの…可能性?」
「うん。藍璃ちゃんの心の中には…多分…光ちゃんと大薙さんがいるはずだから」
「…遼輔さん…」
「いつか振り向いてくれるかもしれない…って…今の藍璃ちゃんの心ん中は、まだ整理出来ていないと思うし。催促もしないし藍璃ちゃんのペースで良いから」
「…もしも…好きになれなかったら?」
「その時は時間に任せるしかないかな?だけど、藍璃ちゃんと、こうして出かけたりする事が出来るだけでも良いかな?って」
「遼輔さん…ありがとう」
そう言うと頬にキスをした。
「…藍璃ちゃん…不意のキスは反則だよ…」
「…遼輔さんの事を好きになるまで時間は掛かるかもしれないけど…遼輔さんに私の人生預けても良いですか?」
「えっ?」
「多分…私が信頼出来る人とかって限られているし…あの町から出た所で行く場所は地元に戻るしかないから」
「…藍璃ちゃん…人生を預けるって…逆プロポーズでもしてるの?」
「えっ!?逆プロポーズって…私は別に、そんなつもり…っ!」
キスされた。
気付けば車は脇に停められていた。
ドキン
至近距離で視線がぶつかる。
「俺の性格に嫌気が差してくるかもしれないよ。諄(くど)くて執着心強くて束縛して…他の男と話すだけで凄い妬いちゃうし独占欲強いよ。それでも良い?」
「それなら私だって負けませんよ。それに人の事信じちゃうから嘘つかれても全然気付かなくて馬鹿正直で…だから…どんなに遼輔さんが正直に話してくれてるとしても疑ってかかって…浮気してるんじゃないか?とか沢山、沢山、理由を聞こうとして… "どうして信じてくれないんだろう?" って…」
「じゃあ案外バランスのとれたカップルかもしれないね」
「…えっ…?」
「疑い深くて慎重になって…だけど…俺の性格なら浮気はしないし、しようとは思わないよ。第一、浮気なんちあそんな事したら光ちゃんに怒られちゃうから」
「…そうだね…」
「藍璃ちゃん。ゆっくりで良いから」
「…遼輔さん…」
~ 遼輔 side ~
【遼ちゃん藍璃を宜しくな】
光ちゃんに、そう言われた気がした。
~ 藍璃 side ~
【藍璃、遼ちゃんと幸せになれよ】
光平に、そう言われた気がした。
~ E N D ~
ご愛読ありがとうございました。
仲 間 ハル @haru4649
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