第19話 自分の想い

「お帰り!藍璃ちゃん!」と、朋矢君。


「藍璃ちゃんが帰って来たってーーーっ!?」


と、昌哉君が店の中に慌ただしく入って来た。




「一番喜んでいるのは昌哉だね?」と、遼輔さん。


「えー、いいじゃん!」と、昌哉君。



店内に笑顔が戻る。



「お帰り。藍璃ちゃん」


と、蓮花ちゃんと晴南ちゃん。



「みんな、ただいま」



みんなは快く迎え入れてくれた。


私は、みんなに笑顔を見せみんなの顔を見渡す。




「何?帰って来ちゃったの?」と、大雉さん。


「大雉さん感じ悪いですね?第一、たまには来いって言ったの大雉さんじゃないですかっ!?」


「誰も戻って来いなんて言ってねーけど?」

「別に大雉さんの為に戻って来たわけじゃないんで!」

「なっ…!」


「私はみんなが好きだから、お店が好きだから戻って来たんです!私の中に大雉さんはいません!」


「てめー」



店内に笑いが起こる中、私達は騒ぐ。





その日の夜、部屋にいる時の事。



「なあ」



ビクッ


背後から声に驚く中振り返る視線の先には



「大雉さん?な、何ですか?」

「あんた光平の女だったんだな?」



ドキッ



「えっ?」


「まさかとは思ったけど…携帯の待ち受け。それ見る迄は全然気付かなかった。まあ、見た所で確信無かったけど…」


「そうでしょうね」


「アイツ…光平もサーフィン上手かったけど…」




ドキン


大雉さんの口から私の彼氏の名前が出た事に胸が大きく跳ねる。




「つーか…世の中狭いって、この事言うんだろうな…」



「そうですね…あの…大雉さん」

「何?」


「…大雉さんは今でも…彼女が好きですか?やっぱり…心残りなんですか?」


「えっ?どうして?」


「…いいえ…」


「…忘れたくても忘れられない…思い出しか残ってねーけど…アイツへの想いは変わりはしない」


「…そうですよね…大雉さん…あの…」

「何?」

「…私…」

「うん」

「…大雉さんの事…いつの間にか好きになってたかもしれません」

「…えっ?」



「…ご…ごめんなさい…えっと…」

「…つーか…色々あった中、突然過ぎじゃね?」

「し、仕方ないじゃないですかぁっ!?」

「まさかの出来事に驚いてんだけど…」


「も、もう良いです!出て行って下さい!」

「いやいや元々、俺の部屋!」


「そ、それは…わ、分かってます!分かってますけど恥ずかしいから!」



グイッ


片手を掴まれ壁に押し付けられたかと思うと壁に両手を付き行く道を塞がれた。




ドキン


視線がぶつかる中、突然の出来事に身体が熱くなるのが分かった。



「案外、純?」



頭をポンとされた。



ドキッ



「…サンキュー」と言っては笑顔を見せる大雉さん。



ドキン



「でも…藍璃ちゃんには応える事は出来ねーかな?」



ズキン



「藍璃ちゃんに借金あるとか、そんなのじゃなくて…妹みたいな感じだから。それに…晴南ちゃんから告白されて魅南への想い含めて、ゆっくり付き合ってる段階だから」



「…………………」



「正式に付き合う、付き合わないは分からねーけど…」


「いいえ…良いんです…気持ちを言わないでいるよりも、スッキリさせたかったのもあるし…タイミングって大事だと思うから」


「…そっか…」


「…これからも宜しくお願いします!」

「ああ」




「兄貴、お風呂」

「ああ、すぐ行く」



大雉さんは部屋を出て行く。


入れ替わりで、朋矢君が来た。



「大丈夫?」


「えっ?あ、うん…でも…恋愛はタイミングって大事だよね…私、気付くの遅かったから」


「…藍璃ちゃん…でも…俺は羨ましいよ」


「えっ?」


「ドキドキしたりする事がないから。恋愛って自分磨きになるじゃん?俺はサーフィン一筋だから恋愛所じゃないかも?」


「そう?分からないよ。出会いがあったら恋愛とサーフィンは両立だね」


「両立…出来るかな?」


「案外出来そうだけど」


「そう?」


「そうだよ」




私達は少し話をして朋矢君は自分の部屋に戻った。




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