第17話 和 解

♪♪~


【遼輔さん、今、何してますか?】

【もし時間の都合がよろしければ連絡下さい】




するとすぐに着信が入る。



『どうしたの?』

『すみません…突然に』

『良いよ。藍璃ちゃんの連絡なら用事がない限りは全然大丈夫』



その時だ。




「遼輔くーん」



電話口から女の人の声。



『あっ…ごめんなさい。お邪魔だったみたいですね。失礼します』



私は慌てて切った。





「…今…完璧、誤解しちゃってたよね…」





私は自宅に帰る事にした。


ドキッ


自宅前、一台の車と人影がある事に気付く。


顔など全く分かりにくい状況な為、恐怖感に胸が大きく跳ねる中、


ゆっくり歩み寄る中、ドキドキの恐怖感は近付くにつれ更に増す。





さっき連絡して遼輔さんが来てるはずがない。


近くにいたのなら話は別だけど


流石に電話口から聞こえた女の人の声


明らかに近くにいるわけがない


そうなると誰?




確認の為



「…遼…輔…さん…?」と、名前を呼んでみた。



「………………」



反応がないから


やっぱり違うようだ。




「…あの…どちら様…ですか…?家に何か御用…」




振り向く人影。



ドキッ




「…どう…し…て…?」



そこにはまさかの人物がいた。




「あー、遼輔に住所聞いて」



大雉さんだった。







×××××××××××××××××××



~ 遼輔 side ~



「夜分にすみません!」

「あら?遼輔君。久しぶりね。朋矢なら今、お風呂に…」

「いいえ。朋矢ではなくて大雉さんは…?」

「大雉?大雉なら出掛けて来るとか言って今はいないけど急用?」

「いいえ、分かりました。だったら良いんです。又、来ます」

「そう?ごめんなさいね」

「いいえ。それでは失礼します。おやすみなさい」



俺は店を後に帰る。





××××××××××××××××





「大雉さん…えっと…あ、あがって下さい」

「いや良いよ。すぐ帰るし」

「でも…」

「本当、遼輔が言ってた通り元気そうだな?」

「えっ?」

「元気してるなら、それで良い。それじゃ」

「えっ?ま、待って下さい!」



私は車に乗ろうとする大雉さんを呼び止めると同時に腕を掴む。



「何?」



ドキッ


パッと離す。




「あ…えっと…」



「……………………」



「あの…ご、ごめんなさいっ!」



私は頭を下げた。



「勝手な事して…本当にごめんなさいっ!」



「………………」




スッと私の両頬に両手で触れ顔を上げさせた。



ドキン



「気にすんな!」

「…大雉…さん…」



両頬から両手が離れる。



「あんたは悪くない。あんたは店を守ってくれた…確かに…あんたに50万の借金をした事には変わりはねーけど… もし…魅南が生きてたら…きっと怒られてた気がする」



大雉さんから彼女の名前を聞いた私は胸が痛かった。



「あの店はみんなの居場所だからな」

「…大雉さん…」



頭をポンとされた。


ドキッ



「サンキュー」



ドキッ


その笑顔は反則だ。



「じゃあな」



大雉さんは車に乗ると窓を開ける。



「あ!そうだ!帰って来いって言わねーけど、たまには来いよ。遼輔呼び出せば飛んで来るだろ?後…やっぱ良いや。じゃあな」




そう言って大雉さんは車を走らせながら片手を上げ、運転側の窓から "じゃあな"の仕草をしては帰って行った。




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