仲 間

第15話 居場所

「朋矢。今、みんなとは？」

「えっ？」

「いや…みんな来なくなったから。まあ、色々と事情あるんだろうけど…気になって」

「… みんなとは会ってないよ…昌哉と蓮花とはクラス別れてるし」

「…そうか…」

「…兄貴と藍璃ちゃんが戻ってくれれば良いんじゃない？」

「…………………」

「いつまでもズルズルで、このままじゃ…」

「無理だろうな…俺も彼女も変わりはしない」

「…兄貴…」

「悪いな？答えられなくて」

ある日の事だった。

「御無沙汰してます」

「あっ！遼輔さん！」

「朋矢、久しぶりだね」

「はい！遼輔さん、今、何処でサーフィンしてるんですか？昌哉の所とか？」

「サーフィンは…もう、してないんだ」

「えっ？忙しいから？」

「…違うよ…もう…出来なくて」

「えっ！？出来ない？」

「大雉さんに少しでも近付きたくて無茶してたから…俺…」

「…遼輔…本当なのか？」

「はい…せめて最後に一回、大雉さんとサーフィンしたかったかも」

「…遼輔さん…」

「…遼輔…」

「それじゃ、顔見せに来ただけなんで帰ります」

「遼輔、ちょっと良いか？朋矢、ちょっと店を頼む。遼輔と話してくるけど用はすぐに済むから。外にいる」

「あ、うん」

「どうしたんですか？朋矢に聞かれたくない事ですか？」

「いや…ちょっと…藍璃ちゃん…元気してるか？」

「えっ？」

「いや…彼女、ここに来る前、過去が過去だし」

「…なんだかんだ言って心配してたんですね～。大雉さん」

「別に心配してねーし！借金してんだから！」

「大丈夫ですよ。彼女は元気です」

「そうか」

「大雉さん。大雉さんは、藍璃ちゃんの事どうなんですか？」

「えっ？どうって？」

「特別な想いとかないんですか？」

「そんなの無いに決まってるだろう？妹みたいな感じかな？意地張り合って似てる部分あるし」

「意地…へえー、じゃあ今回も仲直りしようとしないのは意地張り合ってるからなんですね～」

「いやいや、違う！勝手に出す奴が悪い！」

「大雉さんが返そうとしないから取り立て来てたんでしょう？」

「そ…それは…」

「だけど、ここ無くなったら、みんなの居場所なくなるじゃないですか」

「えっ？」

「ここは…みんなの思い出の沢山詰まってる大事な場所ですよ。だから藍璃ちゃん、お金出したんだと思いますよ。第一、魅南さんだって利用していた場所じゃないですか。それに…ここは…藍璃ちゃんの、もう１つの居場所ですよ。大雉さん」

「えっ？…もう1つの…居場所…？」

「それじゃ帰ります。用事、済んだんですよね？」

「えっ？あ、ああ」

藍璃ちゃんの居場所

とは言ったものの

正しくは

藍璃ちゃん達のになるけど

俺が光ちゃんと来ていた所に

光ちゃんが藍璃ちゃんに

教えないはずがないから

志歩さんが見掛けたなら

藍璃ちゃんが知らないはずがないのだから────