第14話 現 状~心の想い~
~ 朋矢 side ~
「…みんな…バラバラになって来てるかも…」
××××××××××××××××
「大雉、ちょっと買い出しに行って来て」
「ああ」
××××××××××××××××
ピンポーン…
インターホンが鳴る。
「はい」
カチャ
ドアを開ける私。
「遼輔さん」
「今、平気?」
「うん」
私は遼輔さんを家にあげる。
「藍璃ちゃん、戻って来る気ない?」
「えっ…?」
「…確かに、ここは藍璃ちゃんの家だし戻って来てなんて言い方は、おかしい話だけど…今…みんなバラバラなんだ」
「………………」
「朋矢は一人でサーフィンしに来てるし、昌哉は別の所でサーフィンしてて…蓮花ちゃんも晴南も来なくなって」
「遼輔さんは?」
「えっ?」
「遼輔さんは…サーフィンしていないんですか?」
「…俺は…大雉さんと同じ様に、もうサーフィン出来なくなったから…」
「…えっ…?」
「医師に止められたんだ。まあ忙しいのもあるし、しばらくサーフィンから離れようって…でも…大雉さんに近付こうと思って俺も無茶している部分あったから…」
「…遼輔さん…」
「その事、伝えたくて。それじゃ帰るね」
遼輔さんは帰って行く。
「遼輔さん。私が戻った所で何か変わりますか?」
「えっ?」
「大雉さんは心良く受け入れてくれないだろうし…戻っても…どうにもならないと思います」
「それは…どうかな…?」
「…えっ…?」
「君がいて、みんながいた。みんながいたから君がいた。そう思うのは俺だけかな?」
「…遼輔さん…」
「君の存在は何よりも大きくて、みんなを1つにしてくれていたと思うよ…それに…本当は…大雉さんの存在が藍璃ちゃんにとって大きかったんじゃない?」
ドキン…
胸が大きく跳ねる。
私が大雉さんを……?
私は自問自答する。
「でないと、お金を出すわけないよ。お店の為とか、お客様の事とか…もちろん、その思いに嘘はないと思うけど…大雉さんへの想いもあったんじゃないかな?」
「…………………」
「色々あり過ぎて自分の気持ちに気付いてないんじゃないかな?」
「…遼輔さん…」
頭をポンポンとする。
ドキン…
「ゆっくり自分の想いと向き合って自問自答してみて。自分に嘘つくのは良くないよ。俺は藍璃ちゃんを責めたりしないから。本当の自分の想いを大切にして、ゆっくり前に進もう。俺は藍璃ちゃんの味方だから何でも言って。連絡くれれば用事がない限りは車飛ばして必ず来るから」
そう言うと私のオデコにキスをする。
ドキン
「約束のキスと、おまじない。光ちゃんに怒られちゃいそうだから唇は辞めておいた。それじゃ、またね。お邪魔しました」
帰って行く遼輔さん。
光平と違って
何処かあどけなさがあって
憎めない遼輔さん
光平と同じ年齢とは思えない
お兄ちゃんのような人
だけど……
私の事を気にかけてくれて
私の色々な部分を
受け入れてくれてる
ねえ 光平
私にとって
みんなの存在は
やっぱり大きかったのかな?
あの店で過ごした時間
無駄じゃなかったのかな…?
私が あの店に来たのも
何かの縁だったんだよね
だって……
あの店は
私達が利用していた
思い出の場所の1つだから──────
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