第13話 恋愛

~遼輔 side ~



「あれ?遼輔さん。久しぶりに海に来たかと思ったら一人ですか?」


蓮花ちゃんが尋ねてきた。




「うん」




そこへ─────




「あっ!遼輔さん!…一人なんですか?」


朋矢が、蓮花ちゃんと同じ事を尋ねて来る。




「そうだよ。藍璃ちゃんと、一緒に来るとでも?」


「…それは…」と、朋矢。


「…だって…2人…前に私達の前通り過ぎて…」と、蓮花ちゃん



「そうなんだ。でも、それ以来、藍璃ちゃんとは会ってないよ」



「えっ!?会ってないんですかぁっ!?」


朋矢が、かなり驚いた様子で言った。




「うん。会ってない。あ、でも、ご心配なく連絡は取り合ってるから安心して」


「良かった…」と、朋矢。


「出会いが出会いだからね。心配した?」と、俺。


「それはそうですよ!」と、朋矢。



「ところで昌哉は来てないけど」と、俺。


「…昌哉なら…あれから来てないですよ」と、朋矢。


「あれから?」と、俺。


「はい。藍璃ちゃんと遼輔さんの2人の姿を見て以来」


と、蓮花ちゃん。




「…そうか…まあ…昌哉、藍璃ちゃんの事、好きだったっぽいからね」


と、俺。



「…やっぱり…そうだったんだ…」と、朋矢。



「昌哉は分かりやすから。朋矢は、どうなの?」


と、俺は単刀直入に朋矢に尋ねた。



「えっ?」


「一緒に住んでたんだし少し気があっても、おかしくないよね?実際、本当の所どうなの?」


と、俺。




「俺は別に」と、朋矢。


「そう?それは本当の気持ち?」と、俺。


「えっ?」と、朋矢。


「離れて気付く本当の気持ち」と俺。



「それが…そういう想いが、一切なくて」と、朋矢。


「そうか…分かった。じゃあ、俺は一先ず、帰るね」




「えっ!?帰っちゃうんですか?」と、蓮花ちゃん。


「うん。色々と忙しいから俺。それじゃ」



そう言って俺は海を後に帰った。





「朋矢。朋矢は本当に藍璃ちゃんへの特別な想いはないの?」


「えっ?どうして蓮花まで同じ事、聞くの?」


「だって一緒に住んでたわけだし真っ先に助けたのは朋矢だよ」


「その時は無我夢中だったから。人を助けたい…そう思っただけだよ」




「………………」



「…でも…正直…俺自身、分かってないんだ」


「えっ?」


「好きなのかな?…って…」


「朋矢…」




「人を好きになって、ドキドキしたりして…心ん中、色々な葛藤するもんじゃん?嫉妬したり、泣いたり、笑ったり…喜怒哀楽に悩まされんの。今の俺には、それがないから」



「そうか…」


「だけど…俺は…恋だの愛だのよりもサーフィンしている方が、一番楽しいかな?…でも…正直、羨ましいよ。恋愛に夢中になれるって…自分磨きになるから。キラキラしてる瞬間だからね。それじゃ、もう一回、行って来る」



「うん…」













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