第7話 3人の関係
~ 遼輔 side ~
彼女の知らない所で俺達3人、俺と、俺の彼女・晴南と、蓮花ちゃんは集まっていた。
「藍璃ちゃん…そんな事…」と、晴南。
「本当だったんだ…」と蓮花ちゃん。
「蓮花ちゃん結構疑ってたもんね」と、遼輔さん。
「だって…!…余りにも話、上手すぎだし…それは…疑いたくもなるよ…」
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「藍璃ちゃん。ちょっと大雉と買い出しに行って貰えないかしら?」
志歩さんに頼まれる。
「買い出しですか?分かりました」
私は大雉さんと買い出しに行った。
その帰り─────
「みんなやってんなー」
「あっ!大雉さん」と、遼輔さん。
「兄貴」
「ちょっと買い出し頼まれたついでに立ち寄った。これ良かったら食べな」
去り始める大雉さんの姿。
そして、大雉さんの姿を見つめる晴南さんと遼輔さん。
「…晴南さん…大雉さんの事…でも…遼輔さん…いるし…」
私は気になってはいたものの、誰にも聞かずにいた。
ある日、私は海に足を運んでいた。
「晴南さん」
「ん?何?」
「…いいえ…やっぱり…良いです」
「そう?」
「はい…」
大雉さんの事を尋ねようとするも私は聞けずにいた。
そして私の携帯に連絡が入る。
「はい、もしもし。分かりました。買い出しに行って来ます」
「お店?」
「はい。それじゃ」
私は海を後に帰る。
「あれ?藍璃ちゃんは?」と、朋矢君。
「お店の買い出しっぽいよ?連絡あったみたいだから」
「そうか。一人で大丈夫かな?」
「心配なら後を追ったら?」
「いいえ。辞めておきます」
そう言うと海へと入って行った。
その日の夜、4人でテーブルを囲んでいる時の事だった。
「母さん」と、大雉さん。
「ん?」
「今度みんなで出掛けようと思うんだけど」
「みんな?」
「そう。サーフィン仲間と。勿論、藍璃ちゃんも」
「えっ?でも…私…」
「みんなと仲を深めるには絶好の機会だろ?」
「…店あるから…」
「あら?こっちの事は良いのよ。私の都合で休む事はあるから。今まで、そうやってしてきたから。行っておいで」
「つーことで決定な。藍璃ちゃん」
そして─────
出かける日程も決まり、出掛けた日の夜────
「藍璃ちゃん、どうかしたのか?」
私の元に声をかけてくる人影。
視線の先には
「大雉さん」
「両親や彼氏以外の外出で疲れたか?」
「…それは…でも…大丈夫です。みんな良い人達だから良くしてもらってるし申し訳ないくらいです。第一、運転する方が疲れるでしょう?」
「運転は遠方なんてどうって事ない。遼輔もいるし」
「…そうか…」
私達は色々話をする中、私達の姿を見つめる晴南さんの姿があった。
そんな事など知る良しもなく────
「晴南」
「きゃあっ!遼輔。もう驚かさないで!」
「ごめん、ごめん。2人仲良いね」
「えっ?あ、うん…藍璃ちゃん住み込みだからね。仲良いんじゃないかな?」
「妬く?」
「えっ?やだ、どうして?私は遼輔いるし」
「…そう?ちょっと向こうに行かない?」
「あ、うん…」
「大雉さんは相変わらずだよね~。みんなに優しくて気遣い上手で本当兄貴みたいな存在。大人だな~って思う」
「そう…だね…」
「ねえ、晴南」
俺は彼女にキスをしようと近付けるも
「あ…ごめん…」
そう言って顔を逸らされた。
「…えっと…その…」
「晴南の…心残りの人…大雉さんだったんだ…」
「えっ?ち、違っ…」
「…嘘…」
「…遼輔…」
「大雉さんの事、目で追っている晴南がいるから。さっきも大雉さんの事、見てたんでしょう?まさか、藍璃ちゃんじゃないだろうし」
「………………」
「…大雉さんが戻って来てから晴南、様子おかしかったし…俺といても、つまらなそうだったから」
「そんな…」
「当時、大雉さん彼女…魅南(みな)さんがいたのもあってか、俺が晴南に告白して "心残りの人がいる" と、晴南に言われて、"それでも良い" と言った俺と、ゆっくり付き合って行く事になって…大雉さんがいなくなってから晴南は自分の本当の想いに気付いたからか…その想いを下記消す為に正式に付き合う事にしたんじゃない?」
「………………」
「でも、俺と付き合っていくにつれて申し訳ないのと言い出せなかった…違う?」
「…遼輔…」
「楽しそうにして笑顔作って…だけど…ふと…何かを考えている晴南がいて…大雉さんが戻って来てから、その表情は更に増えて…晴南……別れようか…」
「…えっ…?遼輔…待って…!」
「………………」
「…本気…なの…?」
「今のままじゃ、一緒にいてもズルズルだよ」
「待って!遼輔!確かに大雉さんは心残りだった!だけど!今は…」
「晴南っ!俺は淋しくて辛いだけだよっ!」
「…えっ…」
「今の晴南は…気持ち整理ついてないだろうし。晴南は…2人の異性の間を行ったり来たりしてるから…」
「…遼輔…」
「俺は晴南が好きだけど、晴南の心の中には…大雉さんがいて…晴南も辛いだけじゃないかな?だから、キッパリ別れた方が、お互いの為だと思う!」
「………………」
「俺、中途半端なままは嫌だし…大雉さんが戻って来てからの晴南の視線の先には俺じゃなくて…大雉さんがいる気がしてならないから…晴南が本当に心から俺の事だけ見て愛してくれるなら考え直してもいいけど…保証は出来ないかな?それじゃ」
次の日────
「グッモーニン!あれ?遼輔さんは?」と、昌哉君。
「おはよう。朝一で波乗りみたいだよ」と、朋矢君。
「早っ!つーか珍しくね?」と、昌哉君。
「うーん…まあ…」と、朋矢君。
「おはよー!あれ?遼輔さんは?」と、蓮花ちゃん。
「朝一で、波乗りだと」と、昌哉君。
「一人で?」と、蓮花ちゃん。
「そうなんじゃねーの?」と、昌哉君。
「そうなんだ」蓮花ちゃん。
しばらくして戻ってきた遼輔さんと合流し朝食ににした。
それから1ヶ月過ぎ、遼輔さんと晴南さんが別れた事が明らかになった。
ある日、お店での事。
「あんなに仲良かったのに本当に別れちゃったんですか?」
と蓮花ちゃん。
「…ちょっとね…色々とね…」と、晴南さん。
そういう会話が聞こえる。
そんな中─────
「あら?」と、志歩さん。
「えっ?」
「すげー!これ瑠璃ちゃんが作ったの?」と、大雉さん。
「うん…ちょっと遊び心で…あっ!すみません!材料、無駄にしちゃいましたよね?」
「大丈夫よ」
アイスで作られた、うさぎの形にしたアイス。
バニラアイスに、赤い色のチップで目。ミントの葉っぱで耳飾り。
ちょっと小ぶりで小太りのうさぎ。
その日の夕方、店にみんなが集まり、私のうさぎのアイスがご披露目された。
「うわー、超可愛いーー!!うさぎだ」と、蓮花ちゃん。
「マジ、スゲー、うさちゃんだ!」と、 昌哉君。
「瑠璃ちゃんが遊び心で作った試作品」と、大雉さん。
「何か食べるの勿体ないね~」と、遼輔さん。
「せっかくだし、パンダとかキリンとか、この際動物園でも作ってみたら?」と、昌哉君。
「えっ?」
「題して、藍璃動物園!」と、昌哉君。
「そのままじゃん!」と朋矢君。
店内に笑いが起こるのだった。
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