第4話 新しい生活
「あら、昌哉君、遼輔君。朋矢なら外出していないわよ」
《…朋矢…》
《私を助けてくれた…男の子…かな…?》
「あー、大丈夫です。志歩(しほ)さんに用事あって」と、香賀さん。
「私?」
「はい。さっき電話で話していた女の子です」
私は頭を下げる。
「まあ、可愛い~♪昌哉君の彼女かと思ったわ」
「いやいや違いますよ」と、土野君。
「そうだったの?」
「それで彼女、身寄りも住む所もなくて」と、香賀さん。
「まあ…」
「だから彼女を住み込みバイトで働かせて貰えないかな~と思って」
「大歓迎よ。部屋も余ってるし自由に使って。えっと…」
「深山藍璃ちゃん。彼女も突然の事で緊張してるだろうから」
と、香賀さん。
「藍璃ちゃんね。彼女を部屋に案内してくるから2人共コーヒーでも飲んでて」
「はい。ありがとうございます」
私は奥の部屋に移動。
案内された。
「いくつ?」
「えっ?あ、16です」
「16?まあ、家の息子と同級生なのね」
「はい…そうみたいですね。前に、お会いした事あったんですけど…あの…息子さんには命まで助けて貰って…なんか助けてもらう事ばかりで…本当ありがとうございます」
「そんな良いのよ~困った時はお互い様。人は支え合わないといけないから」
「…そう…ですね…」
「奥は朋矢の部屋。そして、ここが、あなたの部屋よ」
「はい。ありがとうございます」
「自分の部屋や家みたいに好きに使って。ここは、あなたの、お部屋だから」
「…そんな…すみません…ありがとうございます…」
そして、そう言うと下に降りて行った。
「あら?朋矢、お帰り」
「ただいま。母さん。彼女、藍璃ちゃんが来たって?」
「ええ。今、二階の部屋を案内した所よ」
「そうか」
「朋矢、変な気を起こしたら駄目だよー」
「遼輔さん…」
「確かに、一つ屋根の下に男と女だし」
「それも、そうねー」
「母さんまで!」
「でも私は嬉しいわ。男の子ばかりだから娘が出来たみたい♪」
✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕
「…ここから…海が見える…」
その時、ふと、私の視界に人影が目に止まった。
壁伝いに、よじ登る人影があった。
「えっ…?…人…?」
目が合う。
「きゃああああっ!!ど、泥棒ーーーっ!」
「なっ!嘘だろっ!?あの女っ!ふざけんなっ!何、叫んでんだよっ!!」
下からは、私の声で二階に向かって駆け上がる騒々しい足音。
「藍璃ちゃん!」
「藍璃ちゃんっ!大丈夫!?」
部屋にみんなが来た。
その瞬間、みんなの目に飛び込んだ光景が・・・
私は両手を押さえつけられ、泥棒が私に股がり身動きが出来ない状態の姿だった。
「野郎っ!」
と、土野君が言いながら遅い掛かかり相手は私から離れ土野君はそんな相手には避けられた。
「なっ!うわっ!」
相手は転びそうになる土野君の手を掴み、土野君の手を後ろ手に手を捻った。
「痛てて…」
「手荒な真似したくてしてんじゃねーし!体に染み付いてるから体が勝手に反応すんだよ!悪いな!昌哉」
「…えっ…俺の…名前…?」
そんな中、香賀さんが私を起こし庇(かば)うように立っている。
「朋矢っ!警察っ!」と、朋矢君のお母さん。
「あ、うん」
「待てよ!俺だ!大雉(たいち)だっ!」
「…えっ…?…大雉…さん…?」と、土野君。
「………………」
「…大…雉…?」と、母親。
「大雉…さん…?」と、香賀さん。
「兄貴…?」と、天津木君。
「まあ…この容姿じゃ変質者だの泥棒扱いされるよな?」
無理もない。
私が泥棒扱いした人は、髭は伸び放題で髪の毛もボサボサだ。
洋服は別に印象悪くないんだけど、だからって壁伝いに部屋までよじ登る姿は泥棒としか思えない行動だった。
「とりあえずシャワー浴びて来る」
そう言うと部屋を出て行く。
「…あの…」
「あ、ごめんなさいね。藍璃ちゃん。大丈夫だった?」
と、天津木君の母親が尋ねた。
「…はい…」
「見た目、凄く印象悪かったけど紛れもなく、朋矢の兄で私の息子の大雉なのよ」
「大雉さん…急に帰って来て、どうしたんでしょうね~」
「朋矢の兄貴っつったら、サーフィンプロ並みの腕なんでしょう?遼輔さん」
「そうだよ。世界でも通用する腕前だったけど…理由(わけ)あって辞めた。…まあ…辞めざるを得ない状況になったんだけどね~…」
「………………」
《サーフィン…?》
サーフィン仲間……
確かに
そう言ってた
私には良く分からないけど
でも……
これが後に
仲間という絆に
色々な事が起こるのだった─────
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