第2話 きっと幸せになれるから…

私達は救助マットによって助かる事が出来た。




「…………………」



「沢山の人が君を助けたいと思って1つになった瞬間だよ」



「…っく…」



私は涙がこぼれ落ちる。




「死のうなんて考えないで。君は必ず幸せになれるから」



男の子は私を抱きしめた。





それから1ヶ月が過ぎ─────




「退院…しちゃた…行く宛…ないのに…」



私は途方に暮れ目的もなく足を運ぶ。




「…海…」




私は海をぼんやりと見つめていた。


すると、そこには5人の人影。



「…人…」







「…あれ…?あの子…」



一人の男の子が私に気付いたようだ。


私の方に向かって近付いてくる。





「おーーい!朋矢ーーー!何処行くんだーーー?」




そう言われるも男の子は足を止める事なく、私の方に駆け足で向かって来ている。




「退院したんだ」


「あ…はい…あの…あの時は、ありがとうございました」




私は深々と頭を下げる。


そして顔を上げ




「精神的にも…かなり参っていて」

「あー、良いの!良いの!」


「無事助かったんだし元気になって良かった!せっかくだし、みんなに紹介……


「いいえ…みんなには迷惑かけたし合わせる顔ないですから」


「何言ってるの?これも何かの縁だよ。みんな良い人達だから心良く歓迎してくれる」


「いいえ…本当に…」





グイッ


ドキッ




私の手を掴みみんなの元へ連れて行く。


彼の言う通り、みんな心良く受け入れてくれた。





「ねえ、君、何て名前?」

「…深山(みやま)…藍璃(あいり)…です」


「深山 藍璃ちゃんだね。ちなみに俺は香賀 遼輔(かが りょうすけ)。で、こっちが俺の彼女の加那森 晴南(かなもり はるな)」


「宜しくね。藍璃ちゃん」

「はい…宜しくお願いします」

「そして俺が土野 昌哉(つちのまさや)」

「その幼なじみ。超くされ縁の天津木 朋矢(あまつきともや)」


「そして私は2人のクラスメイトの淅元 蓮花(せきもとれんか)よ。宜しくね」


「…クラスメイト…ですか…?」


「そう。えっ?何?その反応、同級生に見えないとか?」


と、淅元 蓮花さんが言った。



「いいえ。そういう事じゃなくて幼なじみとかの関係性もある中で皆さん昔からの知り合いというか関係性が凄く仲良し感あって長い付き合いなのかな?って……みんな幼なじみなのかな?って思っちゃって…」


「あー、まあ、ある意味みんな幼なじみみたいな感じだけど」


と、淅元蓮花さんが言った。




「ねえ、ねえ、藍璃ちゃん、いくつ?さっきから敬語使っているようだけど」


と、天津木君が尋ねた。



「私ですか?16です」

「16っ!?」

「あの…それは…どういう意味に取れば…」



「いや…つーか同級生(タメ)だし!」


と、土野 昌哉さんが言った。




「…えっ?」

「あっ!こっち2人は18だけど…俺達と4つ違いで」



「そう。今年、19になるから」


と、香賀 遼輔さん。




「そうなんですね。皆さん仲良いんですね」


「まあ、サーフィン仲間だから」


と、土野君が言った。




私達6人は色々話をする。


しばらくして、男の子達3人は、私達女の子の元から離れ海へと向かう。


そのうち一人は、2人の男の子を見守るように見ていた。




「ねえ、この後どうするの?」


と、淅元さん。



「えっ?」

「学校とか色々あるんでしょう?」

「…まあ…でも正直、行く宛なくて」

「えっ!?」

「地元の子なんでしょう?」



首を左右にふる私。




「私…家族同伴の旅行で彼氏と、この町に来て…私以外…みんな事故死しちゃって…だから身寄りもないし…病院費用も、まだ…未納なんです…」


「…ごめん…悪い事…そう…だったんだ…」




「いいえ…それじゃ…すみません…私は、これで失礼します。本当にありがとうございました」




私は頭を下げ足早に去った。




「…あの子…大丈夫かな…?身寄りも何もないんじゃ…行く宛もないんじゃ…」


「晴南さん信じるんですか?」

「えっ?」

「いや…話上手すぎじゃないですか?怪しいですよ!」

「…でも…」


「余り深入りすると痛い目に遭うよ。晴南さんも朋矢に似て優しい所あるし」







こんな話 誰が信じる?


だけど……本当の話



両親の事故も彼氏の事故も────




でも─────



真実は私だけが


分かっていればいい



他人なんて信じない!




だって私は──────





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