仲 間

ハル

第1話 出逢い


バシャ……



バシャ……



スー……




それはある日の出来事だった───



ゆっくりと海の中へと身体を沈めて行く私。



深山 藍璃(みやまあいり)の姿があった





✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「あれ?遼輔(りょうすけ)、2人は?」

「2人?人助けをしに向かったよ~」

「えっ!?」

「一人の女の子が海に沈んで行くの見掛けたから~」


「で?どうして遼輔は行かないの?年上である遼輔が行くべきでしょう?」


「そうなんだけど~逆に止められちゃって~まあ18より16でしょう?」


「あのねー…」

「とりあえず救急車手配しないとね~」




そして救急車で運ばれる私がいた。




ピーポー……



ピーポー……




「ねえっ!今の…」

「救急車がどうかした?」

「誰か運ばれたの?」

「みんな生きてるよ~」

「じゃあ、どうし……」


「女の子が…運ばれた」

「一人の女の子が海に沈んで行くの見掛けてさ」

「…女の子…?」

「うん」

「最初気のせいかと思って」

「幽霊かとも思ったし」

「引き摺り込まれたら、どうしようと思って」

「あのねー…」




そして─────



「あれ……ここ…は…?」

「お目覚めですか?」

「…あの…私…」


「海でサーフィンしている方々に助けられたんですよ。命拾いしましたね」



スタッ


私は起き上がり病室を飛び出した。



「あっ!待ちなさい!まだ安静に……」




✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕



「どうして……?…死にたかったのに……」



私は病院の屋上に行くのだった。



病院の下には人だかり群がっている。





「ねえっ!屋上!」

「屋上!?」

「病院!!」






ガヤガヤ……



ザワザワ……




「一体…どうしちゃったのかな?…ていうか…さっきの女の子に似ているのは…気のせいかな~…?」




走り去る一人の男の子。




「朋矢っ!!」



後を追う、もう一人の男の子。



「さーてと!俺も~」

「ちょっ…遼輔っ!」





男の子3人は私の元へと来るのだった。



そんな事は知るよしもなく────




「朋矢っ!!」



ビクッ


私の元に来た人影、名前を呼ぶ声に驚き振り返る。


男の子だ。




「…人…来ないでっ!!」


「…君は…また…海に命を無駄にするように今度は公共の屋上で沢山の公衆の前で命を無駄にするの!?」


「…あなたが…?…助けたのは、あなたなのっ!?」


「そうだよ!でもっ!助けたのは俺だけじゃないっ!!連れと君を助けた!!」


「…どうして…?」

「えっ?」

「どうして助けたのよっ!?死にたかったのにっ!!」

「…君は…神様がくれた命を無駄にするの?」

「神様なんて存在しないっ!」

「いるよ!」



「いないよ!!私の両親も恋人も奪われたのよ!」


「えっ…?」


「もしも、神様が本当に存在するなら私の愛する人の命が奪われる事も奪う事もしなかったっ!!」


「じゃあ君が死んだら両親も恋人も悲しむんじゃない?それでも死にたいって言うなら俺も一緒に死ぬよ!」


「えっ…?」


「一緒に飛ぶよ!それでも君は…」



「…………………」



「…おいで…」



後退りし拒む私を助けようとする男の子。




「どうして?だったら俺も一緒に…」




次の瞬間────




ガクッ



体のバランスが崩れた。



「きゃあっ!」




ガシッ


私の両腕を掴む男の子。



「…どうし…」


「助けたいから…君には…良い迷惑だろうけど…でも…生きてる価値…あるから…」



涙がこぼれ落ちる私。




「…君…」

「ありがとう…でも…ごめんなさい…」



私は掴まれた腕を離した。




「…マジ…死ぬ気…だったら…!」


「朋矢っ!!」




私の後を追うように男の子も飛び降りた。




「ちょっ…!うわっ!」

「何してんだか…」



私は3人の男の人達と一緒に、下へ落ちていく。


私達の出逢いは始まりに過ぎなかった、

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