第60話 自励

「っっっくおじぃぃ」


 モクランのひめいが聞こえる。

 母さんと、おやじさんの息をのむ音も聞こえた気がした。


 でも、ボクの足はもう走り出していた。


 だって、誓ったんだ。

 守るって。


 黒い大きな箱を真ん中に、4本の幹みたいに太い触手があばれてる。

 一発でももらったら、ボクなんて簡単に吹っ飛ばされちゃうのはわかってる。


 でも、なんでかこわくなんてない。


 だって、

 おじさんが、、、


 父さんが、

 あいつの目を奪ってくれたから。


 だから、あとはボクがあいつを止めるだけ。

 そうだよね?父さん?


 触手がめのまえをとおるたび、風がボクの顔を、体をビュンビュンたたく。

 あといっぽすすめば、当たっちゃうかな?


 そんなところで、ボクは一度しんこきゅうした。

 そして、自分にいいきかせる。


 怖くなんてない。

 ボクは鍵士だ。

 まだホントの鍵士じゃないけど、でもなんかやれそうな、ん-ん、ぜったいやれる気がする。


 さっきから右手があつい。

 でも、そんなの関係ない。


 だって、ボクは父さんの子だから。


 そうおもって、いっぽ。

 前へでようとしたとき、触手がうごきをかえた。

 よこじゃなく、上から。


「、、やばっ」


 あわてててを上にむける。

 でもこれじゃだめだ。

 勝手にからだは動いたけど、一番やっちゃいけないうごきだっていうのはすぐにわかった。

 だって、父さんいつもいってたから。

 受けるな、いなせって。

 それが鍵士の戦い方だって。

 なのに、なんでこんな時までボクは、、、


 そう自分を呪ったとき、きゅうにそらがはれた。

 んーん、ちがう、触手がきえたんだ。

 

 おどろいてうしろを振り向くと、そこにはモクランがいた。

 どうして?

 なんて考える暇はなかった。

 ボクの口がひらく前に、モクランが言ったんだ。


「タク、行って!」


 って。

 大きな目に、涙をいっぱいにためながら。

 ああ、やっぱりモクランには敵わないや。

 でも、これでもう何も怖くない。


 ボクはこんどこそ、黒い箱に向かって一心に走り出した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ずっと声が聞こえてた。


 タクのお家を出てからずっと。

 ちがう。

 このミクおじの剣を持ってからずっと。


 タクのお母さんをミクおじにあわせてあげることになって、タクのお家を出ようとしたら、外にはかじ屋のおじさんがいた。

 タクのお母さんをタクとあたしでりょうほうから支えていたから、動けなくって、お見合い?みたいになっちゃった。

 だれも何にも言わなくて、怒られるかと思ってドキドキしてたら、おじさんは


「いくのか?」


 ってすごく泣きそうな顔であたしたちに聞いてきた。

 だから、


「おばちゃんを、、、」

 

 って言いおうとしながら、広場の方をみたらつちけむり?が立って、なにかのこわれる音がした。

 あたしはびくっってなって、つづきが言えなかったんだけど、おじさんは


「わかった。俺がおぶろう。」


 そういって、背中をタクのお母さんにみせたんだ。

 そしたら、背中にミクおじの黒い剣があって、


「おじさん、それ?、、、」

 

 って言ったら、おじさんも


「んん?何だこりゃ、いつの間にっ!」


 って変な声出してた。

 だからあたしが、


「なら、モクランがそれを持ってあげるから、おばちゃんをおねがい。」


 って言って、黒い剣をおじさんからうけとった時


『、、、ぁ、、ぃ、、』


 何かきこえた気がしたの。

 ちいさなちいさなこえ?

 慌てて、


「えっ?」


 って言ったんだけど、みんな変な顔するばかり。

 きのせいかと思って、タクのお母さんがおじさんにおんぶされるのを手伝おうとしたとき、また


『、、か、ぁ、、ぃ、?』


 聞こえた。

 今度はさっきより少しだけ大きく。

 びっくりしてまわりを見たんだけど、タクは走り始めてて、おじさんもタクのお母さんをおんぶして歩き始めたところだった。

 だからあたしもあわててそのあとを追いかけたの。


 それから広場まで、その声は少しずつ少しずつ大きくなってきてるみたいだった。

 でも、何を言っているのかはわからない。

 そんなことをおもいながら、みんなにおいてかれないようにはしってたんだけど、広場に入ってすぐ、近くですっごい音がした。

 見えたのは火が空に向かって伸びるところだった。

 ぽけっとしちゃったあたしにタクが言う。


「、モ、クラン、こっち。いくよ!」


 その声についてくようにあたしのあしは自然にうごいた。

 やっぱりタクも男の子なんだなぁなんて思いながら。


 そうして何回か曲道をまがって、さっきの音のところにたどり着いた。

 そこはまだ煙だらけで、よく見えなかったけど、そのさき、誰かが演武をしている影が見えたの。

 あたしはすぐにミクおじだってわかった。

 だって、しゅぎょうの時ずっとみていたんだもの。

 

 とんだり、受けたり、シュトウで何かを切ったり。

 見ているうちにほそながい影はあっという間になくなっていった。


 ミクおじはすごい!

 やっぱりすっごくつよかったんだ! 

 そう思って声を出そうとしたとき、その後ろから大きな丸太?の影がゆっくり近づいていくのが見えて、、、


 大きな音が聞こえたときにはミクおじの影はなくなっていて、それと一緒に煙もどっかにとんでいっちゃった。

 そして、みんな動けないでいると、大きな黒い箱が姿を現した。

 丸太はそこからつながっているようで、一つの丸い触手が壁の穴に近づいていくのが見えたの。

 そして、その穴からミクおじが出てきて、、、


 疲れたように笑いながら、その丸い触手に手を、、、


 触手と手が当たったと思ったら、

 黒い箱から大きな音がなったの。


「っっっ~~~~~~~!!!」


 それと一緒に、丸太がまたミクおじをたたくのが見えて、、、


「っっっくおじぃぃ」


 あたしの口から、きいたこともないような大きな声が聞こえたきがした。


 そして、それと一緒に頭の中で、すっごくきれいな声が聞こえた。

 そう、


「汝、力を欲するか?」


 って。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 どうもほむひです。

 6月は鬼門ですね。

 体調不良に、体調不良。

 そして仕事も軌道には乗らず、ぐずぐずぐずと。

 精神が落ち着かないとなかなか執筆が進まないという、わたしの悪癖どうにかしないとと思いつつ、六月も半ばになってしまいました。


 もうすぐボーナスですね(?)


 皆様もう使い道は決まっているでしょうか?

 わたしは、、、


 ・


 ・・


 ・・・


 よく考えてみたら欲しいものってそんなにないんですよね。

 ほしいと思ったら、その都度ぽちっとおしてしまうというか。

 これもよくない悪癖でしょうね。


 そんな訳で、使い道もなく、ローンに、保険にと、もっていかれるだけのボーナスですが、みなさんは有効活用ちゃんと考えてくださいね。

 

 ではでは、次回もぼちぼち更新していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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