第13話
照史side
逢見さんが言っていた。裁判所に蓮実は立てないだろうと……俺は法廷のドアを開くと
「蓮実……!?」
「その反応だと私がいちゃいけない存在みたいになってるわね?」
蓮実がいた。蓮実はいないはずじゃ……!
「あなたは知らないようだけど、私一応これでも警察官の娘よ?勘違いしないで」
その言葉に蓮実のお父さんは満足気な顔をして、頷いた。
「久しぶりだな……」
「ユッキー、智洋、沙耶香まで……」
そこには懐かしい同級生がいた。普通なら感動の再会と思われるシーンだが、生憎俺は不倫をしているというポイントがあり、かなり雰囲気は悪い。そしてユッキーが口を開く。
「今回の不倫の件で、証拠はいくつも上がってます。」
沙耶香が証拠らしきものを出すとそこには俺が逢見さんといる写真や不倫に値する写真までバッチリ撮れていた。それに録音や画面撮影までできている。俺は焦り、蓮実のほうを見る。すると蓮実はニヤッとした薄気味悪い微笑みを浮かべた。
くっそ……やられた……!!証拠は隠滅していたと思ったが、蓮実のほうが1本上だった。
「あなたからの匂い、特性、行動を見てればすぐにわかった。」
蓮実はそう冷静に言う。普通は泣きながら縋って愛する人がいかないでと嘆くシーンだと俺は思っていた。しかしそこにいたのはもはや他人だった。
「不倫を認めますか?」
とユッキーが言う。しかし俺は
「悪いのは……全部こいつだ!俺を上から見下して、我儘を沢山言って、家の事全部俺に押し付けて!こんなのフェイクだろ?たかが子供を産むことのできない女なんていらねぇーんだよ!」
と俺は逆ギレした。次の瞬間部屋中にパチンと乾いた音がした。
蓮実side
照史の言い訳にうんざりしていたが、こどもを産めない女と言われたときカチンと来た。私は言い返そうと思ったが、智洋が先に動き照史の頬を叩いた。
「いい加減にしろよ!!蓮実は道具じゃない!それに蓮実がいつお前のことを見下した!?お前に負の感情を与えた!?」
普段智洋は声を荒らげないから周りはびっくりしていた。
「俺はずっーと昔から蓮実が好きだった。だけど蓮実の幸せは照史が叶えていたから俺は諦めた。なのに……蓮実のこといらねぇなら俺が蓮実をもらう。」
とこんな状況のなかどさくさに紛れて告白してきた。
「俺が不倫しなければ……俺は評価が落ちなかったのに……」
と照史はブツブツ言っている。恋が人を変えてしまうことはよくあること。しかし今回は場面が悪い。
「そろそろ連れてきて」
と私は外にいる5人に声をかける。
「ちょ!離してよぉ!」
「お、逢見さん……」
そこには手錠をされている逢見さんと逢見さんに恨みのある5人、そして……
「今回は助かったぜ。レオン……!」
智洋の目線の先には綺麗な顔立ちをした外国人が立っていた。
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