第9話

「ただいま〜!!」

「おかえり!」

家に帰ると照史はニコニコして私を迎えてくれた。すると照史の後ろから女の人がいた。

「こんにちは!」

逢見さんがいた。私はニコリと笑って

「照史〜!いい後輩できたじゃん〜!」

「おい!やめろよ〜!くすぐったい!!」

知ってるよ。あなたたちが不倫してること。あえて私は泳がしておくよ。それに会社の後輩でもないことも。

「あ!お客さん来てるのにお茶出してなかった!!えっと……お名前……」

「渋沢です!よろしくお願いします!」

逢見さんは空気を吸うように嘘をつく。私は急いで逢見さんにお茶を出す。

「いつも旦那様にはお世話になっています!今日は仕事の関係でお邪魔していました!」

「全然!いいんですよ!仕事のほうは大丈夫ですか?」

「はい!おかげさまで!今日は1日付き合わせてしまいすみませんでした!これで私はお邪魔します!」

と逢見さんは玄関に向かう。

「本当にありがとうございました!これで失礼します!」

「はーい!また遊びに来てくださいね!

「はい!」

とパタリとドアが閉まった。

「ねぇ、照史。」

「うん?どうした?」

私は演技で泣きながら照史にすがる。

「あの……ね、実はお母さんが……病院に運ばれて……申し訳ないんだけど、また家を開けていい?」

「それ、大丈夫か!?俺も行くよ?」

「ううん。もしがあったら怖いし。照史に家の事任せていい?」

「うん。なにかあったら連絡しろよ?」

あなたはいつも連絡するとだいたい無視するでしょうが。それをグッと飲み込んで

「本当にごめんなさい!しばらくお母さんの容態が落ち着くまで行っててもいい?」

「もちろん!」

私は急いで身支度をした。(家を出ていく準備)私はミニマリストということもあり、荷物はほとんどなかったから軽く済んだ。

「いってきます!」

これが私と旦那の最後の会話となった。

家を出てから

「ユッキー、お願いね」

そう電話した。私はあなたたちを許さないし、地獄に落とすから。

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