第?話

鳥のさえずりが響き

ひぐらしの鳴く音が響く

海の見える寺の縁側


「警告はしといた、ああいうタイプは深堀してくるぞ?」


割腹のいい男が咥えタバコで縁側で禅を組んでる片足の男に近寄った


「…お前、場所考えろよ?檀家連中に見つかるとうるさいからな」

と禅を組む男は目を瞑りながら言った


「うるせぇな、元々ここは俺ん家だ、何しようが俺の自由だ。…てか俺もアイツの意見に賛成だ、お前はここに来た時全部捨てると言ったな?なのに中途半端に現世に関わっているように見えるぞ?そんな覚悟なら今すぐ俺が分家としてお前をバラす」


「何が俺ん家だ、親戚筋から相続しただけじゃないか、俺を殺すならお前が宗家って事になるが…俺はお前に宗家は務まると思えないな、それに俺が中途半端ならお前も同じだ」


「減らず口叩くな!!てめぇ舐めた事言ってるともう一個の足も鮫の餌にするぞ!」

咥えタバコを吐き捨て縁側から降り懐から出したシルバーのリボルバーを片足の男に向けた


「やめろ、いちいちそんなもん向けんの。お前が俺を殺す気ならとっくにやってるだろう?悪い癖だぞ?いちいち感情的になるのは」

目を開けずに男は言った


「チッ…俺がいつ中途半端な事やったんだよ!」


「お前もなんで奴を俺ら側の情報網として使う?足取りを掴めないように経歴を変えたとはいえ生き残りだ、奴に何かあったらモロに俺達に繋がるぞ?」

禅の体勢を崩し近くに置いてあった義足を着けながら尋ねた


「…」


「ったく、いつも綺麗にしてる方の身にもなれよ…」

縁側に降り庭に吐き捨てられたタバコを拾った


「チッ!クソ…!あぁ俺も中途半端だよ!」

リボルバーのハンマーを落とし懐にしまいながら男はそのまま続けた

「この家業は続けなきゃならん、奴はまだまだ若いし脇も甘いがいいモノを持ってる。だから万が一の時の跡継ぎ候補だ、でもな?同じ中途半端でもお前と俺は違う!お前は相変わらずあの人形に肩入れし過ぎだ!そんなに気になるなら何故お前が会ってやんねぇんだ?」


「アイツの保護者はもう俺じゃない、俺に似てるって奴が今の主人。それに俺に会ったらアイツは意地でも俺らの仕事に付きまとうさ、こんな因果な商売に首は突っ込ませない。それに俺はもう二度とアイツの身体の中にある物を悪用しようとする連中を野放しにしない、そのために見張ってる」


「…例のアレか」


「あぁ、檀家のジジィ共から介入するなと言われたが俺が直接事態を収められればあんな騒動にならなかった」


「あの後お前がちゃんとケツ拭いてたじゃねぇか」


「後始末しただけだ」


「あの傭兵連中やアメリカがデータを持ち去ってたとしたらどうする?」


「そん時は俺一人でも全部潰すさ」


「…そういう所は昔から変わんねぇな、まぁロッシーニ事件の後に弟村を人形と組ませてから例の件といいドーム事件といいお前にそっくりな奴とは何か縁があんのか?こんなに絡むか?普通?」


「さぁな」


「さぁな?じゃねぇよ!奴らがこっちを調べてんだぞ?かち合う時てめぇはバラせんのか?」

そう言うと懐からタバコを出し火をつけた


「かち合う前に俺らはその場から去ればいい、それに調べてるのは俺の事だけだ、俺が思う奴ならこんな事大っぴらにする奴でもない」


言い終わると割腹のいい男が義足の男の胸倉を掴んだ


「楽観的な物の見方はやめろ、そんなに甘い世界じゃねぇんだよ!」


「分かってるさ、だったらお前も候補なんて言わずに奴を分家として奴を使え!」



「お前さん達はいつも言い争いをしとるの」



廊下の奥から住職がやってきた

叱られると思ったのか場が悪そうに2人は離れた


「お前さん達は仲がいいのか悪いのか…イマイチ分からん、ほれ、次の仕事だ」


「もう?!やっと休みだと思ったのによ!」

タバコを吸ってる男はイラつきながら封筒に手を伸ばした

「いい、俺が見る…今度は…また九州か…」


「例の内乱の分派共がなにやら企んでる、まだ政府は掴んでないが仮に総理が号令を出しても周りが同意せん、だから大事になる前にお前さん達で片付けてこい」


偽足の男は封筒の書類を一通り目を通した

「期限は?」


「4日間」


「4日間?無茶言うなよ」


「…と言いたいが1週間のウチに片付けてきなされ、ほれ!さっさとせんか」


「足引っ張るなよ」


「何言ってんだ?引っ張れる足なんてねぇじゃねぇか」


義足の男は皮肉を無視し

「お前は自分の腹でも引っ張ってろ」


「うるせぇな、この体にいくらかけたと思ってんだ!」


義足の男が右手拳を突き出しそれに応えるように割腹のいい男も右手拳を合わせた


「まぁちゃっちゃと片付けるか、チキン南蛮とデコポンサワーが俺を待ってるしな」


「そんなもんこっちで食えるだろうよ」


「でたでた!分かってねぇな馬鹿舌野郎が、全然ちげぇよ。チキン南蛮っての…」



「さっさと準備して行かんか!この馬鹿者共!」



住職の怒号が寺に響き渡った




ーーーーーーーーー完ーーーーーーーーーー









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Normal day 乾杯野郎 @km0629

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