第1話 こんにちは異世界!9

 今度は右腕が犠牲になりつつある。先程と同様に腕に通うはずの血が止まり白くなってきた。

 なんなのもう・・・。


「離れろドラ子。ほら、右腕が白くなってきてる。このままじゃ右腕とおさらばだぜ」

「す、すまない!わざとじゃないんだ」


 白い腕を見てパッと手を離した。

 全く・・・。もうテンドンはごめんだ。話が進まない。


「ドラ子が人型になったのは、『魔法』と言ったな」

「うむ!そうか、メグルは魔法を見るのは初めてだったな」


 やはり異世界ものの定番として魔法があるんだ。これはテンションが上がる。


「しかもこの変化の魔法は上位魔法に属していてな、皆が皆使えるわけではないのだ。どうだ、褒めてくれてもいいんだぞ?」

「すごいすごい」


 ふふんと両手を腰に当て自慢げな顔をする。

 さすがドラゴンか、物理も魔法も得意らしい。

 もしかして最強格の味方なのでは?

 これならダンジョンの攻略も余裕じゃん。


「でもこの姿になると本来の力も十分の一になるのだ。当分魔力も戻らないしな。魔力もからっぽだし、元の姿に戻ることもできないのだ!」


 なに自信満々に言ってんだ。

 せっかくの最強格が!

 とは言え仕方あるまい、このままだと街にすら入れないだろうし。


「当分ってどれくらいなんだ?」

「そうだなぁ、私の感覚だと五百年から八百年ほどかな?」

「噓だろ・・・」


 五百年から八百年だと・・・。

 さすがに生きていないし、下手したらもう二、三回転生できるんじゃねぇか?

 というか、コイツ何歳なんだよ。


「だが、安心してくれメグル。そこいらのモンスターなら倒せるし、簡易的な魔法は使えるぞ!」

「簡易的な魔法?なんだそりゃ」

「そうだな、見た方が早い」


 そういうとドラ子は『オープン』と呟いた。

 するとドラ子の目の前に何やらRPGで言うところのステータスが現れた。


「これが簡易魔法か?」

「うむ、まぁこれは一部だがな」

「んで、これは・・・ドラ子のステータスか?」

「左様。良く知っているなメグル。ニホンでも使えたのか?」

「いや、初めて見たが・・・。ある意味日本ではなじみ深いかもな」


 可愛らしく首をかしげるドラ子。

 分からなくて当然だ。


「それでこのステータスには何が書いてあるんだ?」

「ふむ、上から読み上げると―――」


 名前:ドラグオン・ルイ・ヴォングレイ・アルセス=クライヴィッヒ・パレスター・ミラ・アーヴァン・マクスウェル・アロマティア・ドラグーン(別称ドラ子)

 種族:エンシェント・ドラゴン

 レベル―990。体力―800万、魔力―1000万、攻撃力―600万、防御力―1000万、素早さ―800万、スキル―物理半減、魔法半減、炎無効、アンデット無効、毒無効、即死無効。バフ―なし。デバフ―龍人の姿


 なにこれ?ドラ子のほうが主人公みたいなステータスしてるんだけど。もうこいつ一人でいいんじゃないかな。

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