第1話 こんにちは異世界!7

 一人?一匹?でモジモジしながら呟いているドラ子を横目に、天音はこの場から逃げる算段を考えていた。


 さっきから状況が一つも良くなっていない!クソッ!こんなことならギャルゲーの一つでもやってればよかった!

 今更ボヤいたってしょうがないけど・・・。

 とりあえず、まずはこの状況を何とかしないとな。


「ドラ子、喜んでいるところ悪いが―――」

「うふふ、私はドラ子・・・」


 全然聞いてねぇ。完全にトリップしてやがる。


「おーーーい!!」

「ひゃあっ!!どうしたメグル!」

「いや『あっち側』に飛んじゃってたから。トリップしちゃってたから」

「あ、あぁすまない。嬉しすぎて、つい」

「それは良かったな・・・」


 そんなに嬉しいもんかね?まぁ種族が違うし、風習とやらでニックネームで飛び合う機会もなかったっぽいし。

 まぁなんとか『こっち側』に呼び戻すことに成功した。


「なぁドラ子、落ち着いて聞いてほしい。これだけは言わないといけない。いいか、いきなり結婚と言われても無理だ。名前はお互い分かったけど・・・それ以外は知らない」


 真剣な顔つきプラス諭すように話しかける。これでどうだ?


「・・・やはり、そうだよな。こんな簡単な掟ダメだよな・・・」


 自覚あったのか。なおタチ悪いな。


「しかし、メグル。先ほどの発言を掘り返すわけではないが、『お互いのこと』を知れば結婚できるのか?」

「いや、まぁそういうことになるが。いや、違うくて」


 全然諦めてなかった。


「そういうことなら、これから私はメグルと共に生きようではないか!」

「おい、話が飛躍しすぎだ!!」

「いや、そうでもないぞ。それにこの世界に降り立って間もないだろう?私はこの世界について知っている。どうだ?悪い話ではないだろ?」

「まぁ確かにそうなんだが・・・。ほら、ドラ子はかなり目立つじゃん?人間から見ればビビっちまうんじゃねぇのか?」

「ふむ、このままの姿ならばな・・・!」


 ドラ子はそういうと、ぼそぼそと聞き取れない言葉を発した。

 呪文ってやつかな?


 すると次の瞬間ドラ子の全身が光に包まれた。

 めちゃくちゃ眩しい。

 なにも見えん。


「おいメグル?いつまで目をつむっているんだ?」

「んんっ・・・?お、おう」


 感覚だが数分間目をつむっていた。


 ゆっくりと目を開ける。


「眩しかったかメグル。この魔法はな、結構魔力を使うのだ。その際出る魔力光がすさまじく――――」

「ええぇぇえええ!!誰だお前ぇ!!」

「ひどいぞメグル!!」


 そこには二本足で立ち、紅いロングヘアー、ピンクの両目が特徴の美女が立っていた。

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