第1話 こんにちは異世界!5

 異世界転生して、数分で死にかけて回避したと思ったら、数分で結婚とか一体どうなってんだよ。あまりにもイベントが多すぎて頭がおかしくなりそうだ。

 龍の掟が所見殺しすぎる!


「結納!結納!」


 少し黙っててほしい。

 一人?一匹?で勝手にはしゃぎおって!


「おい待てクソトカゲ!何が結納だふざけんじゃねぇ!」


 これには納得いかず菩薩の心を持った俺も語気が強くなる。

 ここはガツンと言ってやらねばガツンと!


「なっ・・・!クソトカゲ!!さすがに夫でも失礼すぎるぞ!」

「なにが夫だバカ!」

「バカとはなんだー!!」


 ダメだコイツ。このドラゴンの脳内では完全に結婚してることになっている。

 早く何とかしないと・・・。


「そもそも、俺はお前に立ち向かってないぞ。だから褒美は貰えない」

「いや、立ち向かったぞ?」

「は?いや、え?」

「いやいや、立ち向かったではないか」

「立ち向かうって、お前と戦うかそういうことだろ?」

「違うが?私の決めた掟は、で成立するものだ」


 あまりにも判定がガバガバすぎないか、それ?

 なんで立って向かい合うことで結婚が決まるんだよ。

 それだと男女問わず、コイツの番になっちまうじゃねぇーか!


「理不尽すぎだろ!とにかく俺はお前とは結婚なんてしねぇからな!」

「そ、そんなぁ!私の『龍の掟』を反故するなぞ、我が一族の恥だ!それに、人の子私のこと綺麗って言ったぁ!!」

「綺麗とはいったが、そんな掟なぞ俺には知ったこっちゃねぇ!!」


 そんなガバガバ掟を決めるお前が悪い。

 結婚相手を決めるならもうちょっと慎重に選ぶんだな。


「うぅ、仕方があるまい。掟を破られるくらいなら・・・」


 また、深紅の両目に涙を浮かべている。

 ふん、泣いたって無駄だ。


「お前を・・・殺す・・・!」


 流れ変わったな。

 すぐさま命乞いだ!!


「待て。いや、待ってください。そんな物騒なこと止めましょう。殺すなんて。それには憎しみや後悔しか生まれませんよ?それに、一度結婚を決めた相手を殺すのはいかがなものかと思いますが?」


 早口で必死の弁明をする。


「た、確かにそうかもしれぬな・・・。私の早とちりだ、詫びよう」


 コイツチョロいぞ!

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