第1話 こんにちは異世界!3
ドラゴンの鱗より紅く、天を穿つほどの巨大な炎だ。それは、雲を突き抜け空に大きな風穴を開ける。
こんなもんに直撃したら跡形もなくこの世から消え去るに違いない。
文字通り跡形もなく。
ポカーンと上空に向かって放たれた炎を見ていると、目の前のドラゴンが再度話しかけてきた。
「おい人の子よ、お、お前先ほどなんと言った?」
喉をグルグル鳴らしながら、こちらを睨みつけるように言う。
さっきの発言?やばい、恐怖と緊張で思い出せない。
俺、さっきなんて言ったっけ?
全然覚えてない。
顔には出さないが、頭をフル回転させ思い出そうとする。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
ダメだ全然思い出せない。
ウンウン唸っていると、ドラゴンが痺れを切らしたのか喋りかけてた。
「おい!!人の子!!無視するでないわ!!」
「いや、それがですね・・・。思い出せなくてですね・・・」
「はぁあ!!貴様ふざけておるのか!!!」
ドラゴンがグォォオオ・・・と睨みを効かせながら唸る。
圧がすごい。このまま気絶した方が楽なんじゃないかと思うほど。
というか、このドラゴンなんでこんなにキレてるんだろう?
「あの・・・つかぬことを事をお聞きするのですが・・・」
恐る恐るドラゴンに聞いてみる。
「な、なんだ?なんでも聞くが良い」
気のせいだろうか。ドラゴンなんて初めて見るからアレだけど、心なしかモジモジというかソワソワというか。
「あの~なぜ、そのように怒られておられるのでしょうか・・・?」
こういう時は下手に出るのが一番!
ヘタに刺激しない。丸焦げにされても敵わん。
「・・・人の子よ、それは本当に言っているのか?」
「ええ、本当です~」
ニコニコしながら返答する。
完璧なコミュニケーションだ。
しかしどうだろうか。
目の前のドラゴンは、全身をプルプル震わせている。
これは、怒りなのだろうか・・・。
だとすると完全にやらかしてしまった。
こんどこそ終わりか?
しかし死を覚悟した天音を裏腹に予想外のことが起こった。
「う、うぅ!!うわぁぁぁああああん!!!」
ドラゴンが大泣きし始めた。
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