第1話 こんにちは異世界!2
いやいやいや。異世界に転生してものの数分だぞ。
この場所って、冒険を始めた初心者が最初にスタートする『平穏な草原』とかじゃないのかよ!
あいつ絶対に冒険後半のボスだよ。このまま、火だるまにされるか丸飲みにされるかしらんが冗談じゃねーよ。こっちレベル1だぞ。赤ちゃんだぞ。
そんなことはいざ知らず。
ドラゴンはもの凄い勢いでこっちに飛んできている。
ヤバいヤバいヤバい―――!!
しかし人間、明らかに自分より大きな生物を見ると恐怖で足が動かない。
頭から尻尾の先まで十メートルはありそうな巨体だ。
すぐさまこの場から逃げないといけないのに。
思考は追いつかないが、ドラゴンはそんなことはお構いなし。
とうとう頭上にまで飛んできた。
あたりの草原が羽ばたきで荒々しくうねる。
そのままゆっくり降下してきた。
ああ――――ここで俺の冒険は終わっちまうんだ。
ズシリと、地面に降り立つ赤いドラゴンはその屈強な四本脚で俺の目の前に君臨した。
紅蓮色の両翼、重厚な赤い鱗、爬虫類を彷彿とさせる獲物を逃さない眼差し、頭当たりに左右対称に生える艶やかな角、一撃で獲物を仕留める巨大な爪。
しかし人間、美しいモノを見たときあまりにも美しすぎて足が動かなくなる。
これが一目惚れというやつだ。
すぐさまこの場から逃げないといけないのに!
一言で言うと初めて見るドラゴンは、恐怖よりも『生物』として美しかった。
「綺麗だ・・・」
つい口ずさんでしまった。
命乞いする前につい口ずさんじゃった。
いやまぁ、ドラゴン相手に命乞いが有効かわからんけども。
「なぁああああッッッッ!!!」
目の前のドラゴンから嬌声が聞こえた。
というか、こいつメスなのか。
すげぇ!ドラゴンって喋るんだ。
確かに俺がゲームで見たことあるドラゴンも喋ってたな。
そりゃ異世界だ。ドラゴンくらい喋るか。
「おいそこのお前」
うんうん、そうだよな。異世界だもんな。
「おい!!」
それにしてもドラゴンでかいなー。
「話を聞けぇ!たわけが!!」
ドラゴンが上空に向かって巨大な火を噴いた。
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