第1話 こんにちは異世界!1

 瞼裏に太陽の光が差し込み、俺は目が覚めた。身体は少し怠いがゆっくりと起こす。

 頭がボーっとする中、周囲を見渡してみた。


 見渡す限り草原で視界が開けている。

 いや、開けすぎている。

 何もない。

 街もダンジョンも。


「え・・・?どこ・・・ここ・・・?」


 普通は街の近くとかに送り出してくれるもんじゃないの?

 いきなりハードモードの異世界転生となった感じ?

 ダンジョン関係以外のことは事前情報は何もなし。装備もないんじゃ、今ここでモンスターに襲われたら終わりってことだよな。


 そう考えるとゾッとする。

 恐る恐る周りを見渡してみると、モンスターっぽい姿は見えない。

 視界が開けているので確認がしやすかった。


 改めて周囲を見渡すと草原と大空が広がって見える。

 風が吹き鳥が飛ぶ。


「本当に異世界・・・なのか・・・?」


 あまりにも現世と変わらなすぎだろ。

 日本のどこか探せばこういうところあるんじゃないか。


 そう錯覚するほどのんびりしていた。


 しかし、その考えは甘かった。


 グォォォオオオオオオオ!!


 視界の奥に広がる森の方角から咆哮が響き渡る。

 鳥が一斉に飛び、森全体が揺れていた。


「・・・ドラゴンじゃん・・・!」


 全身が赤い龍が森の方角から上空に飛び立った。


 完全に異世界じゃん。

 日本のどこ探しても森からドラゴン飛び立つ場所とか無いわ。

 火吹いてるし。


「すげぇ・・・。本当に異世界に来ちまったんだな、俺」


 さすがに興奮を抑えられない。

 漫画やアニメ、ゲームでしか見たことない生き物が実在している世界だ。

 ここから俺の第二の人生がスタートする!


 こんにちは異世界!


 と思っていたら、先ほどのドラゴンがどうやらこちらに気づき俺に向かって飛んできている。

 あきらかにこっちに飛んできている!

 ものすごいスピードで飛んできてる!!


 どうやらここまでのようだ。


 さようなら異世界・・・。

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